コラム

大リーグサイン盗撮問題、まずアストロズに厳罰

2020年01月14日(火)18時15分

一方で、この事件には2人の日本人投手が「被害者」として関わっていると考えられます。1人は現在シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手で、2017年のワールドシリーズではロサンゼルス・ドジャースの投手として2試合に先発していますが、不自然な打たれ方をして第3戦、第7戦のいずれも敗戦投手になっています。本人も「サイン盗撮の被害」を強く訴えています。

もう1人は、ヤンキースの田中将大投手です。田中投手の場合は、同じく2017年のリーグ優勝決定シリーズでアストロズと対戦した際は、好投して1勝1敗でしたし、2018年にレッドソックスに負けた地区シリーズでも勝っているので、もしかしたら当時から相当にサインについて盗まれない工夫をしていたのかもしれませんが、公式戦では不自然な打たれ方をした試合はあるようです。

現時点ではもう一つの疑惑であるレッドソックスへの処罰が下るかどうかが、関心を呼んでいます。とにかく今回の疑惑に対するマンフレッドMLBコミッショナーの姿勢は、野球人気がやや下火になる中で、あらためて球場に観客を呼び戻せるのかという危機感から来ていると思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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