Picture Power

【写真特集】大英帝国支配の爪痕 ニュージーランドに遺る産業の残照

THE AFTERGLOW OF INDUSTRY

Photographs by CHRIS CORSON-SCOTT

2025年09月11日(木)14時00分

2.jpg

『最後の光』 トコマル湾桟橋、北島イースト・ケープ (2016年)/南太平洋に突き出たイースト・ケープにヨーロッパ人が入植し、羊牧場の生産が盛んになると、1911年にこのトコマル湾に大型船舶が接岸できる木製桟橋が建設された。戦後、海岸道路の整備で桟橋は忘れ去られ、荒廃していった



3.jpg

『ナルーア石灰工場』 南島タカカ・ヒル (2017年)/険しい地形のタカカ・ヒルに道路が整備されると、20世紀初頭から石灰岩や大理石の採掘など次々と産業が生まれた。現在は『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』など映画のロケ地として観光業が盛んだ




4.jpg

『ポフツカワの木の下で描く父』 北島ファンガパラオア (2013年)/スコットの父イアンは、戦後の経済不況でイギリスから移住。抽象画家として知られていた。休暇にはスコットを連れてよくファンガパラオアを訪れていた。癌で闘病中だったイアンは、撮影から3カ月後に亡くなった



5.jpg

『キウイ鉱山の石炭貯蔵庫に降る雨』 南島ウェストコースト地方のテンマイルクリーク (2018年)/急峻な渓谷テンマイルクリークでは、1920年代に4人程度で操業する私営の小規模な石炭鉱山がいくつも開設された。80年代の石炭価格の下落でこうした鉱山は次々に廃業し、当時の石炭貯蔵庫からも往時の活気は消え去った



6.jpg

『カウリダムの遺構』 北島コロマンデル地方 (2015年)/ヨーロッパの入植者が、カウリの原生林を伐採して材木を下流に運ぶために造った「カウリダム」の残骸。良質な木材として欧米にまで輸出されたカウリは伐採し尽くされ、現在は国全体で入植前の2%以下しか残っていない


7.jpg

『ブルドーザーで更地にされた農地』 北島オークランド近郊アルバニー (2014年)/かつてカウリの原生林に覆われていた北島は、ヨーロッパ人入植以降の伐採でほとんどの原生植物が掘り返された。一時は果樹園として整備されたこの土地は、2013年以降、住宅地としての開発が進んだ



Photographs from "Afterglow of Industry: New Zealand Photographs 2012-2022" by Chris Corson-Scott, published by Daylight Books


【連載21周年/1000回突破】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」2025年9月9日号掲載

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バルト3国、米議会に防衛支援継続を要請 ロシアとの

ワールド

ポーランド、東部国境付近でドローン飛行禁止

ワールド

トランプ氏の権限拡大、国民は不安視=ロイター/イプ

ワールド

インドルピー、過去最安値更新 米関税が打撃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題」』に書かれている実態
  • 3
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 4
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 5
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 6
    毎朝10回スクワットで恋も人生も変わる――和田秀樹流…
  • 7
    カップルに背後から突進...巨大動物「まさかの不意打…
  • 8
    謎のロシア短波ラジオが暗号放送、「終末装置」との…
  • 9
    村上春樹が40年かけて仕上げた最新作『街とその不確…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 5
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 6
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 10
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story