Picture Power

【写真特集】ベネズエラ難民の母子、苦難の旅を行く

VENEZUELAN MOTHERS RUSH TO MIGRATE

Photographs by CARLOS GARCIA RAWLINS

2019年07月25日(木)16時03分

PP1907305.jpg

アレーネ・ヘルデール(38)
娘ダヤナ(14)、息子ホセ(4)と共にペルーに入国し、旅を続けるためタクシーを探す。ヘルデールは「看護師として働いていたが賃金は子供の教育には足りなかった。息子は4歳になっても色の名前も知らなかった」と泣く。「国や家族や安定を捨てたがる人なんていない。でもある日、食料が底を突いた。その日、家を出ることを決めた。130ドルと少しの装飾品が全財産。子供たちは苦しむかもしれない。でもここなら、空腹で苦しむことはない」

PP1907306.jpg

ヘネシス・バレラ(27)
セバスチャン(7)、クラウディア(6)、イサイアス(2)と入国手続きを待つバレラは妊娠6カ月。「案内人を待っている間に携帯電話の電池が切れた。その後も待っていると、何人かが『来い。(国境を)渡れるから』と言ってきた」と語る。ゲリラから隠れるため息を殺して水の中を渡ったり、検問を避けるために夜中に茂みに身を潜めたりしたという。「闘うためにここに来た。子供を産み、彼らに必要なものを与えるために」

PP1907307.jpg

フビアンディ・ガルシア(19)
息子のルイアン(2)を連れた過酷な旅を経て、ペルー入国の許可が下りた。ペルーにいる夫と合流する予定だが、「もう20ドルしかない。リマまで行きたいが、どれくらいかかるか分からない」と話す。「息子を病院に連れて行かなければならない。赤痢にかかっているから」。彼女自身も医者を目指していたが「銃で武装した強盗たちが教室に入って来て女子学生を暴行し、ほかのクラスメイトたちを殴った」という経験で大学をやめたという。

PP1907308.jpg

アイリン・トゥア(43)
娘のパオラ(18)、ソフィア(13)と共にペルーに入国。彼女が所有していた裁縫の工場は、客離れと材料費の高騰で閉鎖に追い込まれた。夫は稼ぎのいいトラック運転手だったが、会社のオーナーが国外に逃げたため、自らも新しい職を探してペルーに向かった。3人が国を離れる最後の引き金となったのは「すぐに350ドル払え。さもないとパオラとソフィアを誘拐する」という脅迫電話がかかってきたこと。3人はその日のうちに家を出た。

PP1907309.jpg

イリス・メヒアス(68)
孫のビクトリア(10)と、トゥンベスの入国センターに到着。40年以上も看護師として働いた彼女は、娘夫婦が新しい仕事を求めて、ビクトリアを残してペルーに向かった数カ月後に癌と診断された。手術は受けたが、その後の化学療法は薬不足で受けられなかった。「この子を母親の元に連れて行くために旅をしている。母親代わりの祖母が死んで1人になったら、10歳の女の子はどうすればいいのか。この子をそんな状況に置いていけない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、ロシア凍結資産活用の前倒し提起へ 来週

ビジネス

マスク氏報酬と登記移転巡る株主投票、容易でない─テ

ビジネス

ブラックロック、AI投資で各国と協議 民間誘致も=

ビジネス

独VW、仏ルノーとの廉価版EV共同開発協議から撤退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 2

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 3

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 4

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「香りを嗅ぐだけで血管が若返る」毎朝のコーヒーに…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story