コラム

【論点整理】英国EU離脱決定後の世界

2016年06月26日(日)21時33分

 第四に、人が流出する。とりわけ若い世代は、EU世代なので、不便に思う。優秀な人材ほど流動性が高いことを考えると、優秀な若い世代が多く流出するので、長期的なダメージも大きい。

 第五に、ロンドンという混沌の街の魅力が低下する。都の魅力とは微妙なものなので、少しでも魅力が低下すれば、一気に価値は下がり、人、文化は流出する。

 第六に、金融業は英国の要だが、英語圏という魅力はあっても、アイルランドが代替となり、またフランクフルトも候補となる。ロンドンのような魅力はどちらにもないが、要はシティのような金融の中心地は欧州からなくなり、世界でNYのみとなる。金融業は分散し、欧州の力も落ちる。

 第七に、EUや欧州外の地域との交渉はうまくいかない。かつての魅力ある英国であってもEU全体の規模からすると10分の1であり、欧州は結束するから英国よりも欧州を誰もが優先する。米国はバランスを取ろうとするが、中東の地政学リスクも考えると欧州の方が重要であり、場合によっては(長期的には)トルコなどの再加盟までEUは柔軟になりうるから(逆のシナリオが短期的には成り立つが、長期的には逆であろう)、そうなると米国もEUと英国と対等に扱わざるを得ない。中国においても同じである。

 したがって、英国は短期的な影響よりも中長期的な悪影響が大きく、危機は深まる一方であろう。

<ニューストピックス:歴史を変えるブレグジット国民投票

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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