大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」
原作となったトマス・ピンチョンの『ヴァインランド』が物語の主軸とした時代設定は1984年。「アメリカを再び偉大にしよう」を掲げた共和党のロナルド・レーガンが大統領に再選された年だ。
描かれるもう1つの時間軸は60年代末〜70年代、ヒッピー文化や公民権運動、反戦運動が全盛だったニクソン政権時代だ。
新自由主義や管理化を推し進めるレーガンの時代に生きる(革命に落ちこぼれた)主人公は、かつて反体制運動に加担した自分を回想する。
原作のこの骨格を下敷きにしながら、アンダーソンは40年以上が過ぎた現在に時代設定を置き換えた。しかし違和感は全くない。
なぜならアメリカは常に反復している。民主党(リベラル)と共和党(保守)を左右の両端にしながら、ずっと揺れ続ける振り子のように。
復元力が強い。これはアメリカの強みだ。作用があれば必ず反作用が働く。最近は分断という言葉を多くの人は使うが、多民族多言語多宗教で一色に染まらないことは昔からだ。だからアウフヘーベン(止揚)する。結果として前に進む。これを反復する。
トランプ政権になってアメリカは変わったと多くの人は嘆息するが、断言しよう、アメリカは必ず戻る。以前よりも少しだけ良い形で。
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