コラム

トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は?

2024年12月21日(土)20時39分

トランプ氏は第1次政権で当時、独首相だったメルケル氏を毛嫌いした。メルケル氏は国防費をGDP比1.2%台(現在、推定2.12%)に抑え、ウラジーミル・プーチン露大統領とバルト海の海底天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム2」計画を進めたからだ。

トランプ氏にとって、貿易黒字を積み上げるドイツはまさに「NATOのタダ乗り」だった。

2%と5%の中間は3.5%

現在、NATOの国防費目標はGDP比2%。この目標をクリアしているのはNATO加盟31カ国(軍隊を持たないアイスランドを除く)中23カ国。

ロシアがクリミアを併合、ウクライナ東部紛争に火を放った2014年に2%をクリアしていたのは米国、ギリシャ、英国のわずか3カ国だった。

24年(推定)でポーランド4.12%、エストニア3.43%、ラトビア3.15%、リトアニア2.85%、フィンランド2.41%とロシアの周辺国は一段と警戒を強めている。

英米のテレビ番組を視ていると、交渉ごとでは双方のスタート地点のちょうど中間が落とし所になることが多い。

NATO目標の現在地がGDP比2%なのでトランプ氏が5%を主張すると中間地点は2+5=7、それを2で割って3.5%になる。だから落とし所は「3.5%」という見方が出てくる。

ウクライナの戦況は逆転できる

米国の支援が途絶えると、欧州だけでウクライナを支えるのは難しい。

プーチン寄りとみられていたトランプ氏がウクライナへの支援継続を決断したのが本当の話なら人肉をすり潰すようなロシア軍の猛攻で不利に立たされているウクライナの戦況は逆転できる可能性が出てくる。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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