コラム

幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「ロシア愛国教育」のリアルを撮影した映像作品

2026年03月14日(土)17時10分
ドキュメンタリー映画『名もなき反逆者 ロシア 愛国教育の現場で』

ドキュメンタリー映画『名もなき反逆者 ロシア 愛国教育の現場で』 @CzechCentre/YouTube

<ロシアの小学校で行事設営やビデオ撮影を担当していた職員が記録した愛国主義教育のすべて。ドキュメンタリー映画『名もなき反逆者 ロシア 愛国教育の現場で』>

[ロンドン発]パヴェル・タランキン氏(35)は露チェリャビンスク州の工業都市カラバシュにある第1小学校で行事設営やビデオ撮影を担当していた。2022年2月のロシアによるウクライナ全面侵攻を境に教育現場は急速に変質していく。

■【動画】変わっていく教育現場と子供たち...『名もなき反逆者 ロシア 愛国教育の現場で』予告編映像

クレムリンの指示により愛国主義教育や軍事化が学校行事に組み込まれ、タランキン氏は国旗掲揚式や教練の様子を撮影して当局に証拠映像を送る役割を担わされた。民間軍事会社ワグネル・グループの戦闘員が子どもたちに地雷の見分け方や銃の扱いを教える場面も記録された。

タランキン氏は自分が教師たちを見張る「監視員」として機能していることに目が覚め、撮影した映像を暗号化されたサーバーを通じてコペンハーゲン在住の米国人監督デヴィッド・ボレンスタイン氏へ送り始める。これがタランキン氏の人生を一変させる。

「教育を終えた時、プーチン支持の新たな世代が誕生する」

約2年半にわたり撮影された映像は1本のドキュメンタリー映画になった。『名もなき反逆者 ロシア 愛国教育の現場で(原題:Mr. Nobody Against Putin)』はサンダンス映画祭、英国アカデミー賞のドキュメンタリー部門で受賞した。

第98回アカデミー賞ではドキュメンタリー長編映画賞にノミネートされている。授賞式は3月15日だ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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