コラム

エルドアンはユーラシアに蘇る現代のスルタンか

2022年12月23日(金)10時40分

ロシアが世界経済から締め出されるなか、トルコは中国と欧州を結ぶ輸送路の通り道、そして天然ガスパイプラインの通り道として重要性を増した。それだけでなく、黒海に大規模な天然ガス田が発見され、自身ガス大国として台頭しつつある。

ユーラシアはもはや「西側対アジア」に二分できなくなってきた。両者の間には古来、「オリエント」という文明主体が横たわっているのだが、これがトルコ・エルドアンの顔でよみがえってきたのだ。

そのエルドアンも2023年は厄年。夏には総選挙があり、国民による直接選挙で大統領が選出される。エルドアンは再選可能。だが、「インフレを金利引き下げによる成長で克服する」という奇抜な政策で22年の成長率は5%弱が予想されるも、インフレは80%を超える状況で、大衆がどう反応するか。特に若年層の間での与党支持が疑問視されている。

内外の荒波を変幻自在、縦横無尽の手腕で乗り切ってきたエルドアンだが、23年ははや69歳。オスマン帝国の復活、現代のスルタンへの道は並大抵ではない。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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