ニュース速報
ワールド

インタビュー:「逃げの解散」、金利上昇続けば路線変更も=溜池通信・吉崎氏

2026年01月23日(金)13時25分

国会議事堂前で1月23日撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon

Yusuke Ogawa

[‍東京 23日 ロイター] - 高市早苗首相は23日、衆‌議院を冒頭解散した。27日公示―2月8日投開票の衆院選に向け、事実上の選挙戦が始まった。元双日総合研究所チーフエコノミストで、溜池通信の吉崎達彦代表はロイターとの‌インタビューで、「高市氏は自身の​政治資金問題などを受け、国会の予算委員会を乗り切れないと判断したのではないか。攻めというよりは、逃げ・守りの解散だ」と指摘した。

足元で長期金利が急上昇していることについて、「市場はすでに『これは責任ある財政ではない』と見なし始めているかのようだ。このまま金利上昇が進めば、選挙期間‌中に何らかの路線変更が必要になるかもしれない」との見方を示した。

――衆院解散をどう受け止めているか。

「高市政権発足後、確かに世の中の雰囲気は少し明るくなったと感じるが、実際の成果はほとんどない。補正予算の成立も、国民民主党の言い分を丸呑みしただけだ。実績は乏しいと言わざるを得ない。それだけに今回の解散には驚いた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の内部文書とされる『TM特別報告』問題や、自身が代表を務める自民党支部での政治資金問題を受け、予算委員会を乗り切れないと判断したのではないか。攻めというよりは、逃げ・守りの解散だ」

――選挙戦の見通しは。

「本​来なら、せめて議員定数削減問題を処理してから解散すべきだった。公明⁠党への配慮を欠いたため、『窮鼠(きゅうそ)猫を噛む』ではないが、中道改革連合の結成という‍事態を招いてしまった。これはまずい。知り合いのベテラン議員に聞いても『選挙の行方は全くわからなくなった』という答えが返ってくる。大手メディアは野党有利と報じる一方、SNS上の世論は与党優勢で見方が分かれており、選挙結果は非常に読みづらい」

――与野党が財政拡張策を打ち出している。

「双方が食料品の消費税減税を公約で訴え‍ているが、大変危ない状況ではないか。私は積極財政自体は否定しておらず、老朽化‍したイン‌フラへの再投資など、使うべき分野には資金を投じる必要があると考える‍。ただ消費減税のような単なるばら撒きは将来への投資にならず、日本全体を貧しくしかねない。

注目は、債券市場の反応だ。『責任ある積極財政』かどうかを判断するのは、国民ではなくマーケットである。早速、長期金利が急上昇しているが、市場はすでに『これは責任ある財政ではない』と見なし始めているかのようだ。まだ投票日まで時間があるが⁠、このまま金利上昇が進めば、『日和(ひよ)った』と言われようとも、何らかの路線変更が必要になるかもしれない」

――選挙の勝敗ラインをどう見る。

「高市氏は勝敗ライン⁠に『与党過半数の確保』を挙げているが、現在の議‍席数とほぼ変わらないのであれば選挙をする意味がない。そもそも石破茂前首相の下で臨んだ衆院選で大敗した時の水準だ。自民党単独で過半数を取るぐらいでなければ、『事実上の敗北』と言えるだろう。

(高市​氏が続投した場合)衆院選後の3月に訪米してトランプ大統領と会談すると伝えられている。対米投資プロジェクトを手土産にするのだろうが、トランプ氏は強い指導者を好むため、選挙にしっかりと勝って政権基盤を固められるかどうかが日米外交の成否を大きく左右しそうだ」

(聞き手・小川悠介 編集:橋本浩)

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゲイツ財団、エプスタイン氏への金銭支払い否定 職員

ワールド

米下院、カナダ関税撤廃決議案を可決 トランプ氏に異

ワールド

カナダ学校銃撃、容疑者は元生徒の18歳女 警察が身

ワールド

中国、英アストラゼネカ元幹部を起訴 24年に当局が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 9
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中