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ケネディ長官のワクチン政策、米上院で与野党追及 CDC所長解任やり玉に

2025年09月05日(金)11時20分

 9月4日、米議会上院財政委員会が4日開いた公聴会で、与野党議員からケネディ厚生長官のワクチン政策への疑念や批判が相次いだ。写真は7月、ホワイトハウスでトランプ大統領と握手するケネディウ氏(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)

Ahmed Aboulenein

[ワシントン 4日 ロイター] - 米議会上院財政委員会が4日開いた公聴会で、与野党議員からケネディ厚生長官のワクチン政策への疑念や批判が相次いだ。特に議員らは、疾病対策センター(CDC)所長を務めていたスーザン・モナレズ氏が就任後1カ月足らずで解任された問題をやり玉に挙げた。

与党共和党のビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州)は、トランプ大統領が1期目に新型コロナウイルスワクチンの開発・製造・供給を迅速に進めた「ワープ・スピード作戦」を高く評価し、この取り組みはノーベル平和賞に値するとの意見に賛成するかとケネディ氏に尋ね、イエスとの答えを引き出した。

その上でキャシディ氏はケネディ氏に、ではなぜコロナワクチンはウイルス自体より多くの人を殺したと発言したのかと質問。ケネディ氏はそうした発言をしたことを否定し、結局同ワクチンが病死を予防したと認めたものの、具体的な効果は明らかにしなかった。医師でもあるキャシディ氏はケネディ氏の承認において重要な役割を果たした。

同じく医師である共和党のジョン・バラッソ上院議員(ワイオミング州)は、ケネディ氏が厚生長官指名承認公聴会で最も厳しいワクチン接種要件を順守すると約束したのに、その後米国ではしかの感染が広がり、国立衛生研究所トップからメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを疑問視する声が聞かれ、最近ではCDC所長が解任される事態が起きていることに懸念を強めていると苦言を呈した。

野党民主党のマギー・ハッサン上院議員(ニューハンプシャー州)やラファエル・ワーロック上院議員(ジョージア州)、民主党と統一会派を組む無所属のバーニー・サンダース上院議員らも、mRNAワクチン技術の研究開発予算5億ドルの拠出を取りやめたことなどケネディ氏のワクチン政策を追及した。

ケネディ氏が推進するワクチン政策に科学的根拠がないとして反対し、CDC所長を解任されたモナレズ氏は4日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、ワクチンの推奨事項を事前承認し、CDCの複数のキャリア職員を解雇するよう指示されたことを明かし、自身の解任は米国のワクチン基準を弱める幅広い措置の一環だったとの見解を示した。

一方ケネディ氏は、モナレズ氏の解任は妥当だったとの立場を変えず、CDC職員をさらに解雇する必要があるかもしれないと強調した。

同氏はCDCがパンデミック下でマスク着用、社会的距離、学校閉鎖、ワクチンの効果について米国民にうそをついていたと主張した。「これらの人物を何人か解雇し、二度とこのようなことが起こらないようにする必要がある」と強調した。

トランプ氏はホワイトハウスで行われたビジネスリーダーとのイベントで記者団に対し、ケネディ氏は「善意に基づき行動しており、やや独特の考えを持っている」と述べた。

ケネディ氏の行動に信頼を置いているかとの質問には「ここにいる多くの人は私を含めてケネディ氏を気に入っていると断言できる。ただ彼は異なる見解を持っており、それを全て聞きたい」と答えた。

ロイター
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