豪中銀、全会一致で予想通り利下げ 追加緩和の必要性に総裁言及

8月12日 オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は12日、インフレ率の鈍化と労働市場の減速を理由に、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、2年ぶりの低水準となる3.60%とした。写真は2016年10月、シドニーで撮影(2025年 ロイター/David Gray)
Stella Qiu Wayne Cole
[シドニー 12日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は12日、インフレ率の鈍化と労働市場の減速を理由に、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、2年ぶりの低水準となる3.60%とした。一段の緩和については慎重な姿勢を示した。
利下げは市場の予想通りだった。
声明は「基調的なインフレ率が2─3%のレンジ半ばに向けて低下し続け、労働市場の状況も予想通りわずかに鈍化していることから、さらなる金融緩和が適切と判断した」と説明。 一方「理事会は、需給の双方について不確実性が高まっていることを踏まえ、見通しについて慎重な姿勢を崩していない」とした。
決定は全会一致だった。
中銀のブロック総裁は理事会後の会見で、現在の政策金利が引き締め的かどうかについてはコメントしなかった。最新の経済見通しではさらに「数回」の利下げを想定しており、インフレが予想通り減速し続ければ緩和は可能と指摘。理事会は会合ごとにデータを検討するが、経済見通しの水準に達するには一段の緩和が条件となるとの見解を示した。
「インフレ率を低位で安定させ雇用を増やすには、現状よりやや低い金利が必要となる可能性を(中銀の)予測が示している。ただ、不確実性は依然として大きい」と述べた。
今回利下げを見送っていれば、中銀が低インフレと完全雇用という2つの責務のいずれも達成できなくなるリスクが高まっていたとの認識を示した。
外国為替市場では豪ドルは0.2%下落し1豪ドル=0.6508米ドル。3年物国債先物は一時の下げから反発して2ティック高の96.62となった。スワップ市場では9月の追加利下げ確率は34%にとどまる一方、来年初めまでにさらに2回の利下げが行われ、金利が3.1%まで低下する可能性を完全に織り込んでいる。
ノムラのエコノミスト、アンドリュー・ティスハースト氏は「全体として、経済成長の勢いがトレンドに戻り、労働市場とインフレはやや減速している。いわば理想的な局面にあると言える」と指摘。「インフレ率の低下は緩やかな緩和を可能にするが、経済は利下げを強く必要とするような状態ではない」と語った。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアの経済調査・世界貿易担当責任者、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「失業が拡大し、利下げの必要性が強まっている」と指摘。「インフレについては良いニュースで失業については悪いニュースであり、追加緩和が正当化される」と述べた。オックスフォード・エコノミクスは、年内にあと1回、11月に利下げがあると予想している。