ポーランド下院、トゥスク首相率いる親EU連立政権の信任投票可決

6月11日、ポーランドのトゥスク首相が率いる親欧州連合(EU)の連立政権に対する信任投票が議会下院で行われ、賛成多数で可決された。ワルシャワで撮影(2025年 ロイター/Kacper Pempel)
[ワルシャワ 11日 ロイター] - ポーランドのトゥスク首相が率いる親欧州連合(EU)の連立政権に対する信任投票が11日に議会下院で行われ、賛成多数で可決された。
1日の大統領選で、保守野党「法と正義(PiS)」が推す反EUのナブロツキ氏が、トゥスク氏が支持していたチャスコフスキ・ワルシャワ市長に勝利。新大統領による拒否権発動により、トゥスク氏の政権運営に支障が出るのではないかとの懸念が浮上していたが、ひとまず逆風は収まった形だ。
しかし政権内からは、連立協定の再交渉が必要だとの声も出ており、今後内部での対立に発展する可能性もある。
トゥスク氏は「政権が機能しなくなる、首相が退陣する、または首相は仕事ができなくなるといった憶測が広がっていたので、この信任投票が必要だった」と強調した。
信任投票に先立つ演説でトゥスク氏は、2023年12月の政権発足以来成し遂げてきた防衛費増額や移民へのビザ(査証)発給縮小、PiS政権時代の司法改革の巻き戻しなどの取り組みをアピールした。
PiSが進めていた司法改革は、EUが裁判所の独立性を損なうと非難。トゥスク氏は今後のこの改革撤回に向けた措置を講じていく方針を示した。
ただ複数の専門家によると、有権者の多くはトゥスク政権が約束した最低課税所得の引き上げなどが実現されていない点に幻滅している。
ナブロツキ氏は地元紙のインタビューで、最低課税所得引き上げ法案が議会で可決されれば署名する用意があり、トゥスク政権が法案を準備しないなら自ら提出すると表明した。