NATO、防衛費をGDPの3.5-5%に引き上げへ=イタリア国防相

イタリアのクロセット国防相は21日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は6月に開催する首脳会議で防衛費の国内総生産(GDP)に対する比率の目標を現行の2%から3.5─5%に引き上げるとの見通しを示した。写真は2022年12月、ローマで撮影(2025年 ロイター/Remo Casilli)
[ローマ 21日 ロイター] - イタリアのクロセット国防相は21日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は6月に開催する首脳会議で防衛費の国内総生産(GDP)に対する比率の目標を現行の2%から3.5─5%に引き上げるとの見通しを示した。
米国が防衛費の増額を求める中、イタリア政府は今年の防衛費について、一連の会計上の変更を通してGDP比2%の目標を達成できると表明している。
一方で、逼迫している財政への影響を限定しながらイタリアの防衛予算を増額する草案が策定されている。
クロセット氏は議会下院の答弁で「イタリア政府は(6月のNATO首脳会議で)自国の見解を表明し、その見解について協議する。首脳会議ではNATOが判断を下すことになる」と説明した。
イタリアの防衛予算をGDPの5%に引き上げるには、600億ユーロ(680億ドル)超の原資が必要になる。そうした規模の増額を確約するのは、財政が逼迫しているイタリアには厳しいとみられる。同国の公的債務は2026年にはGDPの約138%に膨らむ見通しだ。
ただクロセット氏は、防衛予算には通信や宇宙航空政策など既に全体の政府予算に盛り込まれている一部の項目も含めるべきだと主張。重要なインフラの強靱性を高める支出や、軍隊の機動力を強化するための支出にも言及した。