EUはトランプ関税に屈服せず 対抗措置も検討=貿易担当委員

欧州連合(EU)欧州委員会のシェフチョビッチ委員(貿易・経済安全保障担当、写真)は6日の欧州議会で、EUはトランプ米政権の不公正な高関税政策に屈服しないと表明し、他国との貿易拡大を探るとともに米国への対抗措置も検討していると説明した。写真はブリュッセルで昨年11月撮影(2025年 ロイター/Johanna Geron)
[ブリュッセル 6日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会のシェフチョビッチ委員(貿易・経済安全保障担当)は6日の欧州議会で、EUはトランプ米政権の不公正な高関税政策に屈服しないと表明し、他国との貿易拡大を探るとともに米国への対抗措置も検討していると説明した。
同委員は、米国との交渉を通じた解決が最優先なのは明らかだが、米国が公正かつ対等な合意に向けて交渉を前に進める意思を示す必要があると述べた。さらに「EUは弱腰ではなく、不公正な合意の受け入れを迫る不当な圧力に屈する考えはない」と言明した。
米国の「相互関税」の上乗せ税率発動までの90日間猶予の期限は7月8日。対EU上乗せは10%だ。米政権はこれとは別に鉄鋼とアルミニウム、自動車・自動車部品に対し既にそれぞれ25%の追加関税率を適用している。
同委員によると、EUはこの猶予期間に一連の高関税政策の是正を求めて米国と交渉を継続する一方、交渉が決裂した場合は追加的な対抗措置を準備し、公正な競争環境を確保する方針。同委員は「あらゆる選択肢が依然検討されている」と述べた。
さらに、EUから米国へ輸出される物品のうち米関税対象は現時点で70%を占めるが、今後は医薬品や半導体、その他の製品に関する米追加調査の結果次第では、その割合が97%にまで拡大する可能性があると指摘した。
その上で同委員は、世界の全貿易の87%が米国以外である点にも力点を置いた。インドやインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアを例に挙げ、「どの国もEUと自由貿易協定(FTA)交渉を加速させたがっているため、電話が鳴り止まないということを報告したい」と話した。
ただ、トランプ関税の影響で輸出先を米国からEUへ変更する動きが急拡大しかねない。同委員は警戒する方針を示し、既に設置済みの貿易監視の作業部会が今月中旬に最初の調査結果をまとめると明らかにした。