米のウクライナ支援金近く枯渇、ホワイトハウス当局者が議会に警告

米行政管理予算局(OMB)のシャランダ・ヤング局長は4日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対する支援について、議会が行動を起こさなければ資金が年末までに枯渇すると警告した。2022年2月撮影(2023年 ロイター/Tom Brenner)
Jeff Mason Patricia Zengerle Richard Cowan
[ワシントン 4日 ロイター] - 米ホワイトハウス当局者は4日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対する支援について、議会が行動を起こさなければ資金が年末までに枯渇すると警告した。
米議会では共和党が下院を僅差で支配しており、ウクライナへの資金援助を巡る問題は一部の議員の間で政治的な論争となっている。
行政管理予算局(OMB)のシャランダ・ヤング局長は共和党のジョンソン下院議長を含む議会指導部に宛てた書簡で、ウクライナに対する資金と兵器の供給を断ち切ることは、ロシアの勝利の可能性を高めることになると指摘。「議会が行動を起こさなければ、年末までに資金が枯渇する」と訴えた。
その上で、国防総省は11月中旬までに623億ドルの追加資金の97%を使用したほか、国務省は47億ドルの軍事支援を全て使い果たしたと指摘。約272億ドルの経済支援、100億ドルの人道支援も使い切ったとし、「ウクライナが自国を防衛し、主権を持つ民主的で独立した国家としての将来を確保できるよう支援することは、米国の安全保障上の利益にかなうと強調したい」と述べた。
また、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は記者団に対し、議会は「ウクライナの自由のための戦い」を支援し続けるか、「歴史から学んだ教訓を無視し、(ロシア大統領の)プーチンに勝たせる」かを決めなければならないと指摘。「ウクライナ支援に反対する投票は、プーチンの戦略的地位を向上させる投票だ。これは避けられない現実だ」と語った。
<5日に機密ブリーフィング>
バイデン政権は5日に上下両院向けに機密ブリーフィングを行う。
上院民主党トップのシューマー院内総務によると、ブリーフィングの一環として、ウクライナのゼレンスキー大統領が動画を通じて上院議員向けに演説するよう要請されている。
上院議員向けの非公開ブリーフィングは、米東部時間午後3時に予定されている。
一方、ジョンソン議長はX(旧ツイッター)上で、政権がウクライナ戦略に関する共和党の懸念に「実質的に対処できていない」と指摘。国家安全保障のいかなる支出も国境政策に対処するものでなければならないと投稿した。
「上院民主党とホワイトハウスが理性的に交渉すれば、この2つの問題は合意できると信じている」と記した。