ニュース速報

ワールド

日中外相会談、拘束日本人の解放要求 法に基づき処理と中国側 

2023年04月02日(日)18時09分

中国を訪問中の林芳正外相は2日、秦剛外相と会談し、アステラス製薬の社員が拘束されたことに抗議し、早期解放を強く求めたことを明らかにした。秦外相は、法律に基づき処理すると応じた。写真は中国の秦剛国務委員兼外相(右)と握手する林芳正外相。4月2日、北京の釣魚台迎賓館で撮影(2023年 代表撮影/時事通信)

[2日 ロイター] - 中国を訪問中の林芳正外相は2日、秦剛外相と会談し、アステラス製薬の社員が拘束されたことに抗議し、早期解放を強く求めたことを明らかにした。秦外相は、法律に基づき処理すると応じた。一方で両外相は、首脳レベルをはじめ韓国を含めた3カ国の協議の枠組みを再開することで一致した。

両外相が対面で向かい合うのは初。林氏は会談後、記者団に対し「邦人拘束について抗議し、早期の開放を含む日本の厳正な立場を強く申し入れた」とした上で、「中国において当面予見可能な公平なビジネス環境が確保されること、安全面とともに正当な経済活動が保証されることを強く求める」と伝えたことを明らかにした。

中国側の発表によると、秦外相は法律に基づいて対処すると強調した。

中国当局は先月、日本人男性をスパイ活動に関与した疑いがあるとして拘束。アステラス製薬の広報は、同社の社員だと明らかにしている。共同通信によると、中国では2015年以降、これ以外に少なくとも16人の日本人がスパイ活動の疑いで拘束されている。

日本の外相が訪中するのは3年3カ月ぶり。このあと中国共産党の最高指導部の1人、李強首相や、外交を統括する王毅政治局委員とも会談する。

林氏は外相会談の成果として、「地域の協力という観点から日中韓プロセスの重要性で一致」したことを挙げ、「首脳、外相レベルを含む日中韓プロセスを再稼働させていくことで一致した」と述べた。その上で林氏は「建設的かつ安定的な日中関係を構築するため、中国側との意思疎通に努めていく」と語った。

このほか林外相は、両国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)を含む東シナ海情勢、さらに中国がロシアと連携して日本周辺で軍事活動を活発化させていること、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題に懸念を表明したことを明らかにした。

林外相は台湾海峡の平和と安定が重要との認識も改めて伝えたが、中国側の発表によると、秦外相は同国の「核心的利益の核心」だとして台湾問題に干渉しないよう警告した。

また、東京電力福島第1原発の処理水放出計画を巡り、「中国側による科学的根拠に基づいていない対外発信に強く抗議した」こと、半導体製造装置の輸出規制は「特定の国を対象にしたものでなく、国際ルールと整合的な形で厳格な輸出管理を行っている」と説明したことを明らかにした。

(竹本能文 編集:久保信博)

*中国政府の発表を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マツダ、関税打撃で4━9月期452億円の最終赤字 

ビジネス

ドイツ輸出、9月は予想以上に増加 対米輸出が6カ月

ワールド

中国10月輸出、予想に反して-1.1% 関税重しで

ビジネス

FRB、近くバランスシート拡大も 流動性対応で=N
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中