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開城工業団地の資金、北朝鮮の兵器開発に使われた証拠ない=韓国

12月28日、韓国統一省の専門委員会は、北朝鮮との国境付近にある開城(ケソン)工業団地で韓国企業が北朝鮮労働者に支払っていた賃金について、北朝鮮の兵器開発資金に使われたことを示す証拠はないという調査結果を発表した。写真は開城工業団地。2013年9月撮影(2017年 ロイター/LEE JAE-WON)
[ソウル 28日 ロイター] - 韓国統一省の専門委員会は28日、北朝鮮との国境付近にある開城(ケソン)工業団地で韓国企業が北朝鮮労働者に支払っていた賃金について、北朝鮮の兵器開発資金に使われたことを示す証拠はないという調査結果を発表した。
朴槿恵(パク・クネ)前政権は、韓国と北朝鮮が共同で操業していたケソン工業団地に流れていた現金の大半は北朝鮮軍に回っていたと主張していた。
北朝鮮が昨年、長距離ミサイルを発射させたことを受け、韓国はケソン工業団地から撤退した。
同工業団地ではおよそ120社の韓国企業が5万5000人の北朝鮮の労働者に対し、1人につき最低賃金の70ドルの約2倍に相当する額を毎月支払っていた。
報告書は撤退の決定について、ミサイル発射の翌日に朴前大統領によって「一方的に口頭で」行われたとし、政権内で正式な協議はなかったと指摘した。
専門委の委員長は記者会見で「(前政権の)大統領府は賃金流用を(撤退の)主な理由として挙げたが、確かな情報や十分な証拠はなく、関連省庁との協議も行われなかった。主に北朝鮮からの亡命者の証言に基づくものであり、客観性と信頼性を欠く」と述べた。
その上で、こうしたやり方は撤退の判断に疑問を残す結果となり、将来の再開を困難にした上、性急な撤収を強いられた企業の資産保全に悪影響をもたらしたと批判した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の核放棄を巡って進展があればケソン工業団地を再開する意向を示している。