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沖縄事件で全面的に捜査協力、TPP任期中に結論出す=オバマ氏

2016年05月26日(木)02時45分

 5月25日、安倍晋三首相とオバマ米大統領が共同記者発表に臨んだ。三重県で25日撮影(2016年 ロイター/Carlos Barria)

[伊勢/志摩 26日 ロイター] - 日米首脳会談が25日夜、三重県志摩市でわれ、沖縄県で発生した女性遺棄事件に関し、安倍晋三首相が強く抗議し、実効的な再発防止策を求めた。これに対し、オバマ米大統領は日本の捜査当局に全面協力し、再発防止にコミットすることを約束した。

また、両首脳は世界経済の成長押し上げの必要性で一致。大統領は環太平洋連携協定(TPP)について、任期中に結論を出すと述べ、強い決意を表明した。

この日の会談では、沖縄での女性遺棄事件について、最も多くの時間が充てられた。安倍首相は、会談後の共同記者発表の場で、長い時間を割いて大統領と話したとし「卑劣極まりない犯行に強い憤りを覚える。日本全体に大きな衝撃を与えていることをしっかりと受け止めてもらいたい」とし、実効的な再発防止策を求めた。

オバマ大統領は日本の捜査・司法当局に対し、全面的に協力する姿勢を表明。同種の事件が再発しないための方策について、コミットメントすると表明した。

安倍首相は記者発表で「今回の事件で失われた(米軍の)信頼を回復していくことは困難な道のりだが、日米で協力して全力を尽くしていくことで一致した」と述べた。

ただ、沖縄県が強く要望している日米地位協定の改定に関しては、安倍首相が「日米双方が努力を重ね、地位協定のあるべき姿を不断に追求していきたい」と表明。日米首脳とも同協定改定の明確な方針は明らかにせず、従来からの運用方針の改善で対応する可能性を強くにじませた。

一方、26日から始まる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の最大のテーマである世界経済について、両首脳は世界の持続的かつ力強い成長を、主要7カ国(G7)でしっかりけん引していかなければならないとの認識で一致した。

安倍首相は、日米で緊密に連携し、様々な課題の解決に道筋を示したいと述べた。為替の議論は行われなかったという。

また、環太平洋連携協定(TPP)をめぐって、オバマ大統領は「在任中に責任を持って結論を出す」との決意を示した。

サミット後に予定されている広島訪問について、オバマ大統領は「全ての第2次世界大戦戦没者への慰霊である」と表明。核兵器なき世界への共通の構想を有していると述べた。

これに対し、安倍首相はオバマ大統領の決断を歓迎するとし「核兵器なき世界に向けた大きな力になると確信している」と述べた。

首脳会談では北朝鮮による脅威についても協議。抑止・防衛能力強化などで意見交換した。中国とベトナム、フィリピンなど周辺国との緊張が高まっている南シナ海問題では、日米両首脳が航行の自由の維持で結束することを再確認した。

オバマ大統領は、記者発表の場で、米国とベトナムとの連携強化は、中国とは無関係であり、中国の挑発を意図した対応ではないと語った。

また、日米両首脳はサミットでもテーマになる移民・難民問題に関する支援や、対イラク追加支援問題でも意見交換した。

*内容を追加して再送します。

(宮崎亜巳、梅川崇 編集:田巻一彦)

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