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アングル:米利下げ再開で住宅関連銘柄に追い風か、既に堅調地合い

2025年09月22日(月)09時38分

9月19日、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ再開に伴って、米国株では住宅関連銘柄が追い風を受けるセクターの1つになるかもしれない。写真は住宅建設大手KBホームのロゴ。2024年9月、ロサンゼルスで撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)

Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の利下げ再開に伴って、米国株では住宅関連銘柄が追い風を受けるセクターの1つになるかもしれない。実際、市場が複数回の利下げを織り込む中、既にこれらの銘柄の地合いは最近数週間で強まっている。

FRBは17日に昨年12月以来の利下げを決め、労働市場てこ入れのために追加利下げも示唆した。

これは小型株や一般消費財など金利敏感株にプラスとなる。また金融緩和が住宅ローン金利を押し下げ、経済活動がよりしっかりして、苦戦する住宅部門を支えるとすれば、住宅建設株も恩恵を受ける可能性がある。

エドワード・ジョーンズのシニア・グローバル投資ストラテジスト、アンジェロ・クーカファス氏は「FRBが緩和サイクルを再起動させつつあり、われわれが追い風を得られる分野を考えるとすれば、住宅建設業界はその1つだ」と指摘した。

一部の投資家は、利下げ再開が景気敏感株を活性化させ、株価指数上昇の担い手がこれまでの巨大テック企業以外に広がると期待する。

フィラデルフィア証券取引所(PHLX)住宅セクター指数は第3・四半期に入ってからの上昇率が15%と、S&P総合500種の7%強をアウトパフォームしている。ただ年初来ではまだS&P総合500種の上昇率が、PHLX住宅セクター指数よりも高い。

第3・四半期で値上がりが目立つ住宅関連銘柄は、DRホートンの30%超、KBホームとトール・ブラザーズの20%超、ロウズの約20%、ホーム・デポの13%などだ。

12日までの週の30年物固定金利住宅ローンは6.39%と、昨年10月初め以来の水準に低下し、キーフ・ブルイエット・アンド・ウッズのアナリストチームは、同金利が年末までに6%へ向かう可能性があると予想した。

一方足元の住宅市場は厳しい。8月の新築一戸建て住宅建設はおよそ2年半ぶりの低水準に沈み、パウエルFRB議長も17日の会見で住宅セクターの活動が「弱い」との認識を示した。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズの主席ポートフォリオ・ストラテジスト、ジャック・ジャナシウィッツ氏は「これらの住宅金利が低下すれば、住宅市場は幾分息を吹き返すかもしれない」と述べ、ローン金利が5%台に下がれば重要な節目になると付け加えた。

ただ投資家の間からは、政策金利低下幅がそのまま住宅ローンに反映されない可能性もあると警告する声が出ている。住宅ローン金利は米10年国債利回りとの連動性がより強いためだ。

米国ではインフレが根強い以上、FRBの追加利下げがどの程度になるかについては不透明感も残る。

こうした中で今週は中古住宅と新築住宅の最新の販売戸数が発表される予定で、住宅市場の動向に関する手掛かりが得られそうだ。

マーフィー・アンド・シルベスト・ウエルス・マネジメントのシニア・ウエルス・アドバイザー兼市場ストラテジスト、ポール・ノルテ氏は「好調な販売戸数は一般的に経済活動にとって朗報になる。だからわれわれは販売戸数が持続的に増加する光景を見たい」と話した。

ロイター
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