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エヌビディア、売上高見通しが予想上回る 中国巡る不透明感で株下落

2025年08月28日(木)07時51分

米半導体大手エヌビディアは27日、第3・四半期(8─10月)の売上高が540億ドル(プラスマイナス2%)になるという見通しを示し、市場予想を上回った。(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Arsheeya Bajwa

[27日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアは27日、第3・四半期(8─10月)の売上高が540億ドル(プラスマイナス2%)になるという見通しを示し、市場予想を上回った。生成人工知能(AI)向けのインフラ拡充を目指すクラウドプロバイダーからのエヌビディア製半導体への旺盛な需要が背景にあるが、中国事業を巡る不透明感から株価は下落した。

LSEGのデータによると、アナリスト予想は531億4000万ドル。

しかし、第2・四半期(5─7月)の業績は、重要なデータセンター部門でアナリストの予想を下回り、クラウドプロバイダーが支出に慎重になっている可能性を示唆するアナリストもいる。

エヌビディアによると、今回の見通しにはAI半導体「H20」の中国への出荷に伴う売り上げは含まれていない。米政府は、中国向けH20の販売に対して15%の手数料を得たいとしているが、手数料を成文化した規則はまだ発表していない。

見通しは予想を上回ったものの、同社の好決算に慣れきった投資家には響かず、株価は引け後の時間外取引で約2.6%下落した。エヌビディアの時価総額は4兆4000億ドルから約1100億ドル減少。同業インテルの時価総額を上回る規模が吹き飛んだ。

テクノロジーコンサルティング会社クリエイティブ・ストラテジーズのベン・バジャリン最高経営責任者(CEO)は、エヌビディアの予測には「中国市場が含まれていないようで、そのため、ガイダンスは予想より若干弱かったものの、次の四半期に中国市場への売り上げを伸ばすことができれば、間違いなく上振れ余地がある。これは大きな注目点だ」と述べた。

コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は、エヌビディアの「ソブリンAI」の取り組み(世界中の政府にAI半導体とソフトウエアを販売する取り組み)は、今年200億ドルの売り上げを生み出す勢いだと述べた。また、AIへの取り組みは2030年末までに3兆─4兆ドルのインフラ支出を生み出す可能性があり、そのうちの6000億ドルは今年だけで発生していると語った。

エヌビディアによると、データセンターの売上高410億ドルの約半分が大手クラウドプロバイダーからのものだった。ビジブル・アルファのデータによると、データセンター売上高は市場予想の414億2000万ドルをわずかに下回った。

eマーケターのアナリスト、ジェイコブ・ボーン氏は「データセンターの業績は大規模ではあるが、AIアプリケーションからの短期的なリターンの定量化が依然として困難となる場合、大手クラウドプロバイダーの支出が限界に達する可能性を示唆している」と述べた。

また、ディレクシオンの資本市場責任者、ジェイク・ビーハン氏は「エヌビディアのAI事業における決算報告に対する反応としては、今回はこれまでで最も小さいものだ」と指摘。決算は予想を大幅に上回ったわけではないが、大きく下回ったわけでもないと語った。

エヌビディアは5月、米政府の対中輸出規制により第2・四半期の売上高が80億ドル目減りするとの見通しを示していた。

合わせて発表した第2・四半期決算は、売上高が467億4000万ドルで、市場予想の460億6000万ドルを上回った。第2・四半期についても、中国を拠点とする顧客へのH20の販売はなかったという。

しかし、中国以外でもH20に対する需要はあるようだ。クレス氏はアナリスト向け電話会見で、第2・四半期に中国国外の1顧客が6億5000万ドル相当のH20を購入したと明らかにした。

エヌビディアはまた、追加で600億ドルの自社株買いを承認したと発表した。

ロイター
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