サービス価格上昇、デフレ前の水準近づく 物価高の消費下押しには懸念=経財白書

7月29日、内閣府は2025年度の経済財政白書(年次経済財政報告)で人件費の価格転嫁によりサービス価格の上昇率がデフレ期前の水準に近づきつつあるとの分析を示した。都内で22日撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Yoshifumi Takemoto
[東京 29日 ロイター] - 内閣府は2025年度の経済財政白書(年次経済財政報告)で人件費の価格転嫁によりサービス価格の上昇率がデフレ期前の水準に近づきつつあるとの分析を示した。同時に、物価高が消費を下押している現状に懸念を示した。
白書では欧米の物価上昇率が前年比ゼロ%近傍で推移する中、日本は食品価格の値上げにより財の物価上昇率が前年比5%台で推移していると指摘。サービス価格の伸びも2000年代はゼロ%近傍が継続したにもかかわらず、近年は2%に近づきつつあると指摘した。
サービス価格の内訳では、家賃と公共サービスを除く一般サービスが23年以降に前年比3%前後の上昇率で推移する状況を図示した。総じて人件費比率の高いサービスにおいて人件費の価格転嫁が着実に進んでいるとみている。
サービス価格上昇率は品目別の分布でみてもプラス圏へのシフトが着実に進み、デフレ入りする前の1980年代の姿に近づいていると説明した。
一方、実質可処分所得から推計される個人消費の理論値と比較して、現実の個人消費は24年以降回復が弱い状況が続いていると分析。家計や企業の予想物価上昇率の高まりや不確実性の高まりが消費マインドを下押しし、3四半期にわたり消費を押し下げたと分析した。