米経済活動は小幅拡大、物価は上昇 見通しやや悲観的=地区連銀報告

米連邦準備理事会(FRB)が16日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、5月下旬から7月上旬にかけて経済活動が小幅に拡大したとの認識が示された。2013年7月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
[16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が16日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、5月下旬から7月上旬にかけて経済活動が小幅に拡大したとの認識が示された。
物価については、各地区で上昇したとの認識が示された。物価上昇は「緩やか」としたのが7地区、「控えめ」としたのが5地区と、前回報告とほぼ同様だった。
経済見通しは中立からやや悲観的。活動の拡大を予想した地区は2地区のみで、その他の地区は横ばい、もしくはやや弱くなるとの予想を示した。
今回の報告書は、7月7日までに収集された情報に基づきボストン地区連銀が作成した。
報告書によると、企業はトランプ米政権の高関税措置が価格の上昇圧力になっていると指摘。「幅広い業界で今後数カ月間、コスト圧力は高止まりし、消費者物価が夏後半から急速に上昇し始める可能性が高まっている」とした。
雇用は小幅増えたものの「多くは不確実性が解消されるまで大規模な採用や解雇の決定を先送りする見通し」とした。
FRBは2024年12月以降、政策金利を4.25─4.50%に据え置いている。米政権の貿易措置などに対する経済の反応を見極めるため、少なくとも25年9月までは現行の金利水準が維持されると予想されている。
トランプ氏は即時利下げを要求しており、FRBの政策立案者2人は7月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを検討する可能性があると発言している。一方、大半は利下げに消極的な姿勢を示している。雇用市場は一部冷え込みの兆しがあるものの、引き続き堅調で、高関税措置によって今後数カ月の間に物価が上昇してこれまでのインフレ対策の進展が帳消しになりかねないとみているためだ。
6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比で5カ月ぶりの伸び率を示した。輸入品が多い衣料品、家具、玩具などの価格が上昇し、関税措置がインフレに影響し始めていることが示された。
FRBは状況を正しく把握するため、報告書で示されるような日常的な動きに留意するとしている。