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英中銀、バーゼル規則の実施一部2028年に延期 

2025年07月16日(水)11時45分

 イングランド銀行(英中央銀行)は15日、国際的な銀行規制の一部の実施を2028年に延期すると明らかにした。以前から待ち望まれていた中堅銀行向けの資本要件の緩和も発表した。写真は英中銀の建物。ロンドンで6月撮影(2025年 ロイター/Carlos Jasso)

Lawrence White Sam Tabahriti

[ロンドン 15日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は15日、国際的な銀行規制の一部の実施を2028年に延期すると明らかにした。以前から待ち望まれていた中堅銀行向けの資本要件の緩和も発表した。

スターマー労働党政権は金融規制緩和方針を取っている。リーブス財務相は15日、規制当局の権限を抑制しより多くの貯蓄者が金融業部門と経済を押し上げるために株式投資できるようにする計画を発表した。

英中銀はバーゼル3.1規則の大部分について27年1月の導入期限を維持するが「取引勘定の抜本的見直し(FRTB)」と呼ばれる規則は28年に延期すると述べた。

FRTBは銀行の取引資産に関する資本要件や報告義務を定めており、リスクを標準的な手法または銀行独自の算定方法でどのように測定するべきかといった点を含んでいる。

バーゼルIII規則の初版はバーゼル委員会が世界の主要な金融センターの銀行監督当局とともに作成し世界金融危機の後に導入されており、英中銀が「バーゼル3.1」と呼ぶ最終版は25年1月から実施が予定されていた。だが今年1月、英中銀はバーゼル規則全体の導入を27年1月に延期すると発表した。

金融監督当局は世界的に、バーゼル3.1の完全実施を延期している。それは他国が導入する前に自国企業に過剰な負担をかけないようにし、またトランプ米大統領が規制緩和を公約としている状況で米国がどのように動くのかよりよく見極めるためだ。欧州連合(EU)もその後、対応を検討すると表明。EUはFRTB規則の実施を27年まで延期した。

英中銀は、銀行がMRELとして知られる損失吸収債務を発行しなければならない最低資産基準を250億―400億ポンドに引き上げた。銀行が公的資金による救済でなく、むしろ債権者が損失を負担する「ベイルイン」に対応できるようにするための措置であって、基準額の範囲について従来の150億―250億ポンドを250億―400億ポンドに引き上げた。

この新基準は、昨年の協議で提案された200億―300億ポンドよりもやや緩やかになっている。

保有資産が400億ポンド以上ある銀行は完全なベイルイン計画の準備が求められ、新基準内の銀行は個別に評価される。

ロイター
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