アングル:トランプ氏の「コメ発言」、政府は参院選控え難しい舵取りに

日米関税交渉の猶予期限が1週間後に迫る中、トランプ米大統領(写真右)が米国産のコメ輸入に消極的な日本の姿勢に不満を表明した。2月7日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Kent Nishimura)
Tamiyuki Kihara
[東京 1日 ロイター] - 日米関税交渉の猶予期限が1週間後に迫る中、トランプ米大統領が米国産のコメ輸入に消極的な日本の姿勢に不満を表明した。農産品の輸入関税引き下げ議論を避け、代わりに対米投資の積み増しや米国製品の購入拡大で米国の関税措置見直しを勝ち取ろうとしてきた石破茂政権は、参院選を控える中でさらに難しい舵取りを迫られそうだ。
日米が閣僚間の関税交渉を開始したのは4月中旬。赤沢亮正経済再生相はこれまで7回訪米し、自動車関税の撤廃などを求めてベセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア米通商代表部(USTR)代表と協議を重ねてきた。
事情を知る日本政府関係者によると、対米貿易赤字を問題視する米側は日本に輸入関税の引き下げを要求していた。しかし、農産品の輸入関税に議論が及ぶことを懸念した日本側は、協議のテーブルに「戦略的に」(同関係者)載せてこなかったという。
米国の関税措置見直しを勝ち取りたい日本は、代わりに米国から液化天然ガス(LNG)の追加購入や、造船分野での技術協力、日本企業が対米投資に積極的なことなどを「カード」として次々と訴えた。事情を知る別の日本政府関係者によると、米国側の意図をくみ、医薬品や半導体の分野で米国内に直接投資を呼び込む案も検討したという。
しかし、7回目の訪米から帰国した赤沢氏は6月30日、東京で記者団に対し、「五里霧中」の状況は変わらないと述べた。その上で、米側が相互関税の執行猶予期限としている7月9日が「交渉の一つの山場」との見方を示した。
振り返れば、トランプ氏は最低10%の税率を各国に課す相互関税を発表した4月上旬、演説の中で日本に言及した。特にコメ輸入を問題視し、米国産に「700%」の関税を課していると批判した。キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司・主任研究員は「トランプ氏にとって、コメは最初から日米関税交渉の象徴的な存在だったのに、日本側はその意向に応えてこなかった」とし、「今からでもコメを聖域化しない交渉を進めるべきだ」と語る。
一方、丸紅経済研究所の今村卓社長は「今回のトランプ氏のコメに関する発言は、どうも戦略的に練られたものには思えない」とみる。「表現ぶりも対カナダや欧州連合(EU)と違って優しいものだったし、そもそも交渉過程が正確にトランプ氏に伝わっているかも疑問だ」と分析する。「トランプ氏としては期限が近づく中で日本とも交渉がまとまっていないという認識はあり、この機会にコメを取り上げることで、単にもう一押し圧力をかけたいという思いがあったのだろう。これからの日米関税交渉で重要な論点になるとは思えない」と話す。
「日本は米国のコメを受け入れていないが、深刻なコメ不足に陥っている」とトランプ氏が自身の交流サイトに投稿した翌日の7月1日午前、折しも石破首相は国内でコメを増産する方針を表明した。「消費者が安定的にコメを買えるようにするとともに意欲のある生産者の所得が確保され不安なく増産に取り組めるような新たな政策へと転換する」と述べた。
7月20日に参院選の投開票を控える中、石破政権にとっては自民党の重要な支持基盤である農家にも、コメの価格高騰に直面する消費者にも訴求する政策と言える。ある自民党幹部は「参院選前にコメの輸入拡大はあり得ない」と話す。
(鬼原民幸 取材協力:竹本能文 編集:久保信博)
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