ニュース速報
ビジネス

銀行・信金の貸出、4月は2.4%増 米関税の影響「現時点で見えず」

2025年05月12日(月)10時04分

日銀が5月12日に発表した4月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比2.4%増の636兆5451億円だった。都内で2013年2月撮影(2025年 ロイター/Shohei Miyano)

Takahiko Wada

[東京 12日 ロイター] - 日銀が12日に発表した4月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比2.4%増の636兆5451億円だった。伸び率は前月を下回ったが、残高は前月をわずかに上回って2000年1月以降の最高を更新した。M&A(企業の合併・買収)関連や不動産関連、経済活動の改善に伴う資金需要が続いている。日銀の担当者によると、米国の関税措置に伴う貸出への影響は現時点で見えてきていない。

業態別にみると、都銀等が1.3%増の254兆9513億円で、伸び率は前月の2.4%を大きく下回った。為替が円高に振れたことで外貨建て貸出の円換算値が目減りしたほか、昨年見られたM&Aの大口貸出の影響が剥落した。地銀・第二地銀は3.6%増の303兆2202億円で、残高は1991年7月以降で最高を更新した。信金は1.3%増に伸びが加速した。

4月はトランプ米大統領が相互関税の導入を発表、その直後に相互関税の上乗せ分の適用を90日間停止するなど関税政策を巡る不確実性が高まった。日銀の担当者は、米国の高関税政策などの貸出への影響について、企業業績の悪化や不確実性の高まりが貸出増につながる可能性がある一方で、M&Aや設備投資の慎重化は貸出の減少につながる可能性があるなど、プラスマイナス双方の要因を想定しているが「現時点では(影響は)まだはっきりとは見えていない」と述べた。

預金平残は、都銀・地銀・第二地銀の3業態と信金の合計で前年比0.7%増の1060兆8510億円だった。07年4月以来の低い伸び率。貸出の伸び鈍化や政府支援策の影響一巡、預金から株式や投資信託といった運用資産へのシフトが伸び率の縮小につながったとみられる。

*日銀の発表資料は以下のURLをクリックしてご覧下さい。

貸出・預金動向: http://www.boj.or.jp/statistics/dl/depo/kashi/kasi2504.pdf

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-テスラ、中国から「サイバーキャ

ワールド

ボリビア大統領、再選立候補せず 分裂与党の候補一本

ワールド

コバルト市場、30年代初めに供給不足に転換へ

ビジネス

テスラ取締役会、マスクCEOの新たな報酬案を特別委
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」にネット騒然
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 7
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 8
    「奇妙すぎる」「何のため?」ミステリーサークルに…
  • 9
    トランプは勝ったつもりでいるが...米ウ鉱物資源協定…
  • 10
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 8
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中