JPモルガン、純金利収入予想引き上げ 軟着陸想定もリスクに備え
米金融大手JPモルガン・チェースは20日、投資家向けイベントで、経済に不透明感はあるものの、金利上昇によって金利収入が増えるとの見通しを示した。2015年5月撮影(2024年 ロイター/Mike Segar)
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米金融大手JPモルガン・チェースは20日、投資家向けイベントで、経済に不透明感はあるものの、金利上昇によって金利収入が増えるとの見通しを示した。
市場事業を除く通期の純金利収入(NII)見通しを910億ドルと、4月の予想890億ドルから引き上げた。
従来予想は、借入コストの上昇からより大きな利益を得られると想定していたアナリストの予想を下回っていた。
ジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は投資家に対し、規制の強化と地政学的な不透明性を要因に挙げ「環境はより複雑になっている」と言及。今後数四半期、NIIの道筋は上下を伴い「ノイズの多い」ものになるだろうとの見方を示した。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、地政学的な緊張や物価高が想定よりも長引くといったリスクを挙げ、慎重になっていると述べた。
CEO在任期間が18年を超えたダイモン氏は、後継者選びにも言及した。ここ数年、続投期間を問われるとあと5年は残ると答えていたが、この日は「もう5年ではない」と語った。
JPモルガンの取締役会は最近、商業銀行と投資銀行の共同CEOであるジェニファー・ピープザック氏とトロイ・ローボー氏を有力候補として挙げている。
ダニエル・ピント社長は、米経済は大きな低迷を回避するソフトランディング(経済の軟着陸)に向かっているが、JPモルガンはこの見通しを妨げるリスクに備えているとし、「不透明性があるのは明らかだ」と指摘した。
JPモルガンは昨年5月、経営破綻した米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行を買収し、多額の融資を獲得。この買収によって金利収入が増えたことも増益に貢献した。