ニュース速報

ビジネス

ドル112円半ば、米税制改革法案で乱高下

2017年12月04日(月)16時15分

 12月4日、午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場の午後5時時点から大幅高の112円後半。米上院が日本時間2日午後に税制改革法案を可決したことを受けて、週明けアジア市場は寄り付きからドルが急伸。米金利も急上昇した。写真は6月撮影(2017年 ロイター/Thomas White)

[東京 4日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場の午後5時時点から大幅高の112円後半。米上院が日本時間2日午後に税制改革法案を可決したことを受けて、週明けアジア市場は寄り付きからドルが急伸。米金利も急上昇した。

ドルは前週末終盤の112円前半から気配値を切り上げて週明け取引が始まり、早朝の薄商いの中を112円後半へ上昇した。一時112.98円と11月17日以来2週間ぶり高値を付けた。

一部報道の混乱もドルの上昇に拍車をかけた。米ABCニュースは1日、フリン前米大統領補佐官が、トランプ氏が選挙戦中にロシア側と接触するよう指示したと証言する意向と報じたが、翌2日に同記事は誤りだったと訂正した。

報道を受けて、1日の取引では急速なドル安や株安が進行。ドルは一時111.40円へ1.5円近い急落を見せただけに、訂正が週明け後にドル買い戻しを強める一因となった。

<米リパトリ減税、上下院歩み寄りも市場は冷ややか>

米上院は可決した税制改革法案で、企業が本国へ還流させる利益への課税率を、流動性資産については当初案の10%から14.5%へ、非流動性資産については5%から7.5%へ引き上げた。下院案の同14%、7%より小幅に高いが、当初案から大きく歩み寄った形だ。

企業の為替取引を促す、いわゆるリパトリ減税は、直接的にドルを押し上げる可能性がある法案として大きな注目を集めている。上院の歩み寄りにより一本化できる可能性が高まった項目の一つといえるが、市場では期待が先行し過ぎていると冷ややかな声が増えている。

恒久減税で期間の縛りがないためドル買いが散発的になりやすいこと、海外子会社が手元資金をドルで保有している可能性もあることに加え、日本はもともと米国発の対日直接投資が少ないことなどが背景だ。

日本総合研究所調査部副主任研究員の井上肇氏も、同様の政策で前回ドル高が進んだ05年と比較すると「当時は円キャリートレードが流行していたこともあり、ドル高/円安が加速しやすい状況だった。現在はそこまで日米金利差が開いている状況でもない」としている。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 112.80/82 1.1865/69 133.86/90

午前9時現在 112.88/90 1.1854/58 133.83/87

NY午後5時 112.10/12 1.1889/93 133.46/50

(為替マーケットチーム)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに

ビジネス

中国4月CPI3カ月連続下落、PPI下落加速 貿易

ビジネス

米政権、航空機・部品輸入を調査 追加関税の可能性

ワールド

G7、インドとパキスタンに直接対話要請 外相声明
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 10
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中