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日産、バッテリー事業をプライベートファンドのGSRに売却へ
8月8日、日産自動車は、日産が保有するバッテリー事業とバッテリー生産工場を、プライベートファンド傘下のGSRキャピタルに譲渡すると発表した。12月末までに完了予定。写真は横浜で昨年11月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)
[東京 8日 ロイター] - 日産自動車 <7201.T>は8日、バッテリー事業をプライベートファンドのGSRキャピタル(以下、GSR)に売却すると発表した。売却額は非公表。日産は、バッテリーを外部調達に切り替えることでコスト低減を図る。
さらに、バッテリー事業の売却で、世界各国の環境規制強化により普及が加速するとみられる電気自動車(EV)の開発と生産に専念する。
売却するバッテリー事業には、連結子会社のオートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)、米国と英国のバッテリー生産事業、国内の追浜、厚木、座間にある開発・生産技術部門の一部が含まれる。今後、規制当局の承認などを経て12月末までに売却を完了する予定。
AESCはNEC<6701.T>グループとの共同出資会社で、日産の主力EV「リーフ」向けバッテリーであるリチウムイオン電池を製造している。日産はまずNECグループが保有するAESC株式49%を取得し、日産の保有分51%と合わせてGSRに全株式を譲渡する。
日産の西川廣人社長は、今回のバッテリー事業売却は日産、AESC双方にとって「ウィンウィン」と指摘。AESCは「GSRの幅広いネットワークや積極的な投資を活用し、新たな顧客を獲得でき、競争力向上が可能」であり、日産にとって「引き続き重要なパートナーであり続ける」とした。
GSRのソニー・ウー会長は「研究開発へさらなる投資を行い、米国、英国、日本で生産能力を拡大していく。中国や欧州にも新工場を建設する」と述べ、成長に向けた体制を整えていくとコメントした。GSRは北京、香港、シリコンバレーに拠点を持つプライベートファンド大手で、EVや新エネルギーなど高成長分野への投資を強化している。
NECも同日、AESC株式の日産への譲渡と、AESCに電極を提供しているNECエナジーデバイス(神奈川県相模原市)の全株式もGSRに譲渡する方向で交渉していると発表。AESC株の譲渡はNECエナジーデバイス株の全株売却が条件としている。売却が実現した場合、NECは2018年3月期の連結決算で約100億円を営業外利益として計上する見込み。
*内容を追加しました。
(白木真紀 編集:吉瀬邦彦)