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今後はM&Aなどあらゆる選択肢検討=株主総会でトヨタ社長

2017年06月14日(水)16時36分

 6月14日、トヨタ自動車は、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開いた。自動車産業が大きな転換期を迎え、異業種からの参入も続く中、豊田章男社長(写真)は「明日を生き抜く力として、今後はM&Aなどを含め、あらゆる選択肢を検討していかなければならない」と述べた。写真はデトロイトで1月撮影(2017年 ロイター/Mark Blinch)

[豊田市(愛知県) 14日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は14日、愛知県豊田市の本社で株主総会を開いた。自動車産業が大きな転換期を迎え、異業種やベンチャー企業の参入も相次ぐ中、豊田章男社長は「明日を生き抜く力として、今後はM&A(合併・買収)などを含め、あらゆる選択肢を検討しなければならない」と述べ、攻めと守りを同時に進め、持続的成長を図ると強調した。

手元資金の使途に関する株主からの質問に対し、豊田社長は、これまで「相当な覚悟をもって」各1兆円規模の設備投資、研究開発投資、株主還元を実施してきたが、「これからはそれだけでは十分でないかもしれない」と話し、自身の考えに変化が生まれていることを明らかにした。

同社長は「当然ながら今日を生き抜かないと明日はないが、同時に明日を生き抜く力もとらえないと持続的成長はできない」と説明。今日を生き抜く力を「守り」とすれば、明日を生き抜く力は「攻め」であり、「私は少し守りにシフトしていたのかもしれない」と振り返った。

そのうえで、「遠い未来の出来事と思っていたことが明日起こるかもしれない」ほど業界の変化は速く、「攻めと守りを同時に進める」必要があり、M&Aなども検討して「来年、1つでも2つでも明日に備える力がついたと報告したい」と述べた。

米国のテスラ、グーグル、アップルなど新たなライバルの登場に対し、同社長は「モビリティ社会をもっと良くしたいという思いは誰にも負けない」としつつ、「ものごとを対立の軸でとらえるのではなく、新しい仲間とともに未来を切り開いていきたい」とも話した。

トヨタでは東日本大震災などでの経験を踏まえ、万が一に備え半年間は事業が継続できる手元資金を用意しており、17年3月期末時点で、「有利子負債を考慮した正味の手元資金として約7.7兆円を確保している」(大竹哲也専務役員)という。

今期予想の2年連続減収減益を心配する声も出た。永田理副社長は、業績への影響が大きい北米市場で、「カムリ」を中心とした拡販、需要が旺盛なSUV(スポーツ型多目的車)やピックアップトラックなどの生産能力増強、販売奨励金の過剰依存などに「メスを入れて挽回したい」と話した。未来への投資はアクセルを緩めず、「もっと賢いお金の使い方をする」とも述べた。

株主総会では取締役9人の選任など4議案全てが承認された。出席株主は過去最多の5227人、所要時間は前年と同じ1時間53分だった。

*内容を追加しました。

(白木真紀)

ロイター
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