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外債1000億円積み増し、オルタナティブを強化=朝日生命運用計画

2017年04月24日(月)19時04分

 4月24日、朝日生命保険の2017年度の運用計画では、為替ヘッジ付き外債を中心に外貨建て債券を1000億円積み増す方針だ。2010年9月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 24日 ロイター] - 朝日生命保険の2017年度の運用計画では、為替ヘッジ付き外債を中心に外貨建て債券を1000億円積み増す方針だ。一方、インフラファンドなど昨年度から取り組んでいるオルタナティブ投資を活用することで収益向上に努める。

円債は慎重姿勢だが、0.8─0.9%の水準であれば30年ゾーンを中心に買いたいとしている。

資産運用企画部長の鶴岡尚氏が24日、ロイターとのインタビューで答えた。

外債はヘッジ付き外債が中心となる見通しだ。ただ、昨年末時点のヘッジ比率は88%とやや高い。「為替のレベルがある程度まで落ち付いてくるようになれば、5%ぐらいはヘッジをはずす」(鶴岡氏)という。

地域別では、米国と欧州を半々くらいとなる予定だ。「欧州分は金額は大きくないが、フランス、スペイン、イタリアなどの国債も含む」(同)という。

今年度の特徴はオルタナティブの強化だ。新たにオルタナティブ所管の専門チームを設置し、投資機会の拡大や収益源の分散に力を入れる。「インフラファンド、海外クレジットファンドなど、オルタナティブへ資産の振り分けを継続する。債券代替のミドルリスク資産を中心に利回り確保を図る」と鶴岡氏は話す。

国内債券は900億円の減少を見込む。ただ、国内債券の中でもメガバンクなどが発行するAT1債と呼ばれる劣後債は買い増す方向だ。償還分は750億円で、ほとんどは外債投資に回すが、デュレーションを多少伸ばすための入れ替えを行うという。

鶴岡氏は「円債を増額するのは、投資対象のメインとなる20年以上のゾーンで1%を超えてこないと難しい。ただ、30年ゾーンでは0.8%─0.9%の水準でも買いを入れる」と話す。

国内株式は100億円積み増す見通し。鶴岡氏は「一時期に比べればEU(欧州連合)分裂リスクも後退した。だが、北朝鮮などの地政学リスクや欧州の選挙も続くので状況的に買いにくい」と話す。

今年度の米10年債利回りについては2.00%─2.80%と予想する。「トランプ政権の政策実行能力への期待が後退しており、米金利は当面横ばいだろう。ただ、インフラや減税政策の話が出てくればある程度好感され、年後半にかけて上昇していく」(同)と見込んでいる。

ドル/円の下限は105円を想定する。「円高リスクは地政学リスクによるものが大きく、日米の金融政策の方向性の違いは継続する。ファンダメンタルズは良いのでもう少し円安に傾いても良いのでは」(同)と話す。

一般貸し付けは投資妙味が薄いことなどから350億円減少させる予定。不動産は横ばい。

朝日生命の一般勘定・資産残高は2017年3月31日時点で5兆4000億円(推定)となっている。

2016年度の実績では、国内債券が1100億円減少、国内株式と外国株式が横ばい、一般貸付は500億円減少した。半面、外貨建て債券は1100億円の増加となった。

今年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.00─0.20%(年度末0.1%)

米10年債利回り     2.00─2.80%(同2.60%)

日経平均      1万6000─2万1000円(同2万円)

NYダウ 1万8000─2万2000ドル(同2万1000ドル)

ドル/円         105─120円(同115円)

ユーロ/円        112─128円(同123円)

(辻茉莉花)

ロイター
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