ニュース速報

ビジネス

アングル:ボラティリティ指標、「トランプ大統領」で大波乱も

2016年11月05日(土)10時11分

 11月2日、金融市場における幾つかのボラティリティ関連指標は足元で大きく上昇したが、英国でEU離脱の是非を問う国民投票が行われた6月に比べるとずっと動きは小さい。だがもし共和党のトランプ氏(写真)が当選すれば、相当な波乱が起きる恐れは残っている。フロリダ州で撮影(2016年 ロイター/Carlo Allegri)

[ロンドン 2日 ロイター] - 金融市場における幾つかのボラティリティ関連指標は足元で大きく上昇したが、英国で欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が行われた6月に比べるとずっと動きは小さい。

これは米大統領選で民主党のクリントン候補を共和党のトランプ候補が猛烈に追い上げている中でも、投資家はまだクリントン氏勝利に賭けるポジションを維持している表れだ。つまり、もし共和党のトランプ氏が当選すれば、相当な波乱が起きる恐れは残っている。

クリントン氏当選なら世界の現状からそれほど変わらないとみなされている一方、投資家はトランプ氏が大統領になった場合に外交や通商、移民問題などにどんな影響が出てくるか不安に駆られている。

シティのG10FX戦略欧州責任者リチャード・コチノス氏は「ボラティリティは確率によって左右され、トランプ氏は当選確率が低い候補者だ。今のところトランプ氏の勝利は想定されていないので、実際に勝ってしまうとボラティリティは大きく跳ね上がる」と述べた。

ゴールドマン・サックスが今週示した分析では、S&P総合500種について日中の値動きの実績から算出する「リアライズド・ボラティリティ(RV)」は10月が6.6と23年ぶりの低水準にとどまった。

対照的にボラティリティ・インデックス(VIX)先物の11月の予想変動率(インプライド・ボラティリティ=IV)は過去数日でじわじわと上がり、現在は17.1と過去の大統領選時の平均に近づいた。それでも6月の英国民投票や1月の中国の株価急落、あるいは昨年8月の人民元切り下げショックなどの時点で記録された水準には遠く及んでいない。

主要通貨のIVは10月に年初来最低水準を付けたが、2日には4カ月ぶりの高さになった。ファンドマネジャーの間で資産配分におけるキャッシュ比率が高まっていることから、ボラティリティは一段と上がると彼らが考えている様子もうかがえる。

ドル/円の1週間物IVは2日、一気に2倍になった。ただし、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に付けた水準にはなお達していない。

(Patrick Graham、Vikram Subhedar記者)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに

ワールド

韓国与党、大統領選候補指名やり直し 韓前首相に一本

ビジネス

中国4月CPI3カ月連続下落、PPI下落加速 貿易

ビジネス

米政権、航空機・部品輸入を調査 追加関税の可能性
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 3
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 7
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中