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アングル:東大物価指数が上昇中、週平均で1.5%
9月4日、東大日次物価指数が上昇率を高めている。直近の9月1日を基準にした週間ベースは前年比1.5%上昇した。千葉県で昨年2月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 4日 ロイター] - 東大日次物価指数が上昇率を高めている。直近の9月1日を基準にした週間ベースは前年比1.5%上昇した。スーパーの特売が減少する一方、食品価格の値上げが相次いでいることが影響したとみられる。このまま物価の基調が強くなっていくのかどうか、日銀も注目しそうだ。
東大指数は、スーパーなどの販売データを集計し毎日公表。物価の動向をタイムラグなしにチェックできるとして、市場関係者だけでなく政策当局者の注目度も上がっている。
昨年4月の消費増税の直後、いったん前年比1.3%まで上昇したものの、その後は消費の低迷でほぼマイナス圏で推移。10月はマイナス1%以上下落していた。
ところが、今年2月以降は反転を始め、今年5月には同0.5%上昇となり、直近データでは同1.5%上昇まで加速してきた。日時ベースでは、8月31日に同2.9%上昇と、2009年以来の上げ幅を記録した。
この急テンポな上昇の背景には、値下げしなくても売り上げが維持できるようになったスーパーの特売減少があると、多くの専門家が指摘する。
2%の物価目標必達を掲げる日銀内でも、カボチャなど生鮮野菜の値上げの影響もあるが、雇用・所得の改善で価格転嫁が進みやすくなったとの見方が多い。
もっとも昨年夏は、天候不順や消費増税で消費が低迷し、各スーパーが特売の乱発で値下げ競争に走った経緯があり、前年比の価格は上がりやすくなる地合いにあるとの見方もある。
他方、昨年の増税による消費低迷で延期されていた価格転嫁が、ここにきてようやく出てきたとの見方もある。
日銀が政策運営の指針とする生鮮を除く消費者物価指数(コアCPI)は、7月に前年比横ばい。2%達成には、足元で指数を押し下げているエネルギー価格の上昇と、食品・日用品の継続的な上昇が必須条件となる。
東大指数の注目度が、今後一段と高まる展開になりそうだ。
(竹本能文)