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「宇宙で同期と待ち合わせ」が実現! その舞台「ISS」を知る7つのキーワード...日本の貢献、日本人宇宙飛行士の活躍
これまでに、宇宙での健康データなどの医学に寄与する成果や今後のさらなる国際宇宙探査に必要となる技術実証、科学の発展に貢献する観測などが得られてきた。
宇宙飛行士は微小重力環境で筋力や骨密度が急速に衰えることから、将来の宇宙進出のための検証としてだけでなく、地上で加齢変化によって運動器が衰える現象の加速モデルとしても注目されている。また、地上よりも高品質なタンパク質結晶が作れることから医薬品の開発に役立てたり、幹細胞を用いた再生医療の実験を行ったりしている。
再生率を向上させた水・空気再生システムの技術実証や、宇宙での火災に備えた重力の影響評価も、継続して行われている大切なミッションだ。ISSで忙しく作業する飛行士を支援するJAXA開発の自律移動型船内カメラ「イントボール2」について、大西さんは「仕事の相棒というよりもペットのようで、癒し効果もあった」と宇宙から笑顔で語った。
大気のない宇宙からの観測を活かして、世界初の科学的知見も得られている。11年には巨大ブラックホールが星を吸い込む現場の観測に成功した。
24年には宇宙事業を推進する民間企業が連携したコンソーシアム「SORAxIO(ソラクシオ)」が発足し、「きぼう」日本実験棟の民間利用のハードルを下げるためのルール作りが進められており、民間利用の加速が期待されている。
4.ISSへの日本の貢献2 補給機「こうのとり」と新型補給機「HTV-X」
ISSでの生活に必要な物資は、宇宙飛行士とともに打ち上げられたり、すでにISS内にあるものでまかなったりするだけでは不十分だ。そこで、定期的に補給機がISSに水や食料、衣類、実験機材などの物資を届けている。
日本の宇宙ステーション補給機「HTV(愛称:こうのとり)」は、09年の技術実証機(1号機)から20年の9号機までのすべてがH2Bロケットで打ち上げられ、補給ミッションを完遂した。1回につき最大約4トンの補給物資を送り、帰りには使用済み衣類や使わなくなった実験機器などを積んで、大気圏再突入時の断熱圧縮によって焼却した。
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