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「宇宙で同期と待ち合わせ」が実現! その舞台「ISS」を知る7つのキーワード...日本の貢献、日本人宇宙飛行士の活躍
こうのとりは他国の補給機と比べて ①自動ドッキングではなくロボットアームによって手動でISSに結合する、②他国製は船内用物資のみを輸送するのに対し、船内用・船外用のどちらの物資も輸送できることが特長だった。
現在は「こうのとり」を引き継ぎ、輸送能力を上げ、ユーザーフレンドリーな機能を強化した新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」が開発され、25年度内にもH3ロケットによって打ち上げられる予定だ。
HTV-Xは「こうのとり」よりも多くの与圧カーゴ(大気のある密閉スペース)を搭載でき、HTV-X本体が軽量化されたため、より重い物資を運べるようになる。加えて、電源が必要な荷物にも対応可能となり、冷凍庫で低温を保つ必要のあるような実験サンプルも運べるという。
また、貨物の最後の搭載は「こうのとり」の打ち上げ80時間前から24時間前に大幅に改善され、貨物受付時間が延長されるとともに生鮮食料品や鮮度が重要な実験サンプルを搭載できるようになるという。
ISSとのドッキングは「こうのとり」と同じく、宇宙飛行士がロボットアームを使って手動で把持して結合するが、将来のミッションを見越して自動ドッキングの検証も行う予定だ。
油井さんは、15年の初回のISS滞在中にロボットアーム操作して、「こうのとり5号機」とISSを結合させた経験がある。今回の滞在中にHTV-Xが初めてISSに来訪する可能性があることについて、搭乗前の記者会見で「こう言うと大西さんが焼いちゃうかもしれないが、HTV-Xが来るのが今回のミッションで一番楽しみなこと。到着したらロボットアームを使って素早く優しくキャッチしたい」と語った。
5.大西さんから油井さんへの宇宙でのバトンタッチ
4日に行われた引継式及び共同記者会見で、大西さんは最も大きな経験として「約3カ月間、ISSの船長を務めたこと」を挙げ、「この大役はJAXAの先輩宇宙飛行士たちが築き上げてきた信頼や、『きぼう』日本実験棟の運用、HTV(こうのとり)による物資補給といった多大な貢献の結果だ。その上に、少しでも自分が信頼を積み重ねられればという思いで船長を務めてきた」と話した。
その後、大西さんが自分の掛けていたタスキを渡すと、油井さんは「重いですね。重力はないけど重いです」と受け取り、「大西さんが素晴らしい任務を果たしてくれたからこそ、その仕事を引き継ぐことの重さを感じる」と語った。
さらに「このタスキには、日本がこれまで積み上げてきた有人宇宙開発の歴史、宇宙開発に携わってきた方々の期待、そして応援してくれた方々の思いが詰まっていると感じている。長期滞在では、大西さんの良い面を受け継ぎつつ、自身の良い点も出しながら仕事を進めていきたい。日本の皆さんに明るい話題をたくさん届けたい」と続けた。
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