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ラッシャー貴子|イギリス

運転免許の更新にまつわる日英のいろいろ

 ただ先ほども書いたように日本の免許更新は国内でしかできないので、ずっと持ち続けたければ一時帰国の時に手続きをしなければならない。本来、免許を書き換える期間は誕生日の前後2か月間と決まっているけれど、それだけに合わせて日本行きの時期を決めるのはなかなか難しい。でも事情を説明すれば、更新期限が過ぎたり、反対に更新期間がまだ来ていなかったりしても更新することはできる(海外在住以外の事情ももちろん考慮されます)。

 わたしの場合、ここ数年は期限前に更新するというパターンに落ち着いている。更新の時期がずっと先でも、早めに書き換えてしてしまうのだ。やり方は簡単で、試験場や更新センターでパスポートを提示して、日本に住んでいないと説明するだけ。あとはふつうの更新と同じように手数料を払い、視力検査や講習を受ければ、その日のうちに新しい免許証を手にすることができる。免許の有効期間が1年短くなるデメリットはあるけれど、失効させてしまうより気持ちに余裕が持てるので気に入っている。

 今回手続きしてもらった免許更新センターでは、窓口で事情を話すと、係の方がわたしの免許をスキャンで読み込み、何かを2、3回ぱぱっとコンピュータに打ち込んだだけで、あっという間に申請書類が完成してしまった。たぶんわけアリということで特別に扱ってくれたのだろう。記入台で書類を手書きしていた一般申請の方たちに何だか申し訳なかった。ありがたい。

ブック - 1.jpeg

今回の免許更新でいただいた資料(右上は封筒)。今回は大地震の時の車の停め方も教えてもらった。能登半島地震からまだ日も浅かったので特に心に残ったし、ほとんど地震のない英国では習う機会のない情報だ。筆者撮影

 ペーパードライバーということで自動的に優良ドライバー扱いになり、書き換えの時は毎回30分の短い講習を受けている。実はこの講習で観るビデオがわたしはちょっと苦手だった。事故防止を呼びかけるために毎回出てくる、子どもが急に飛び出すシーンに本気であわててしまい、心臓がばくばくするのだ。しかもそういう場面では、「常に『人が飛び出してくるかもしれない』と意識して、『かもしれない』運転を心がけましょう」と深刻な声がこちらに呼びかけてくる。こわい! もう、車の陰からは子どもが100%飛び出してくるとしか思えない。こんなふうに脅かすから日本人は失敗が怖くなるんじゃないの? と屁理屈をこねたことさえあった。

 それが今回、飛び出しシーンではあいかわらず目を背けたものの、講習を受けながら車の運転には本当に気をつけないとなあと頷いていた。当たり前のことなんだけど! 英国での車の運転は日本に比べるとスピードを出しがちだし、車間距離が狭くて隣の車にやたら近い。どこかでそれをこわいと感じていて、ふと思い出したのかもしれない。

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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