母親としての悩みと葛藤を描く映画『ロスト・ドーター』が残す「謎」と深い余韻
Finding Answers in the Book

大学教授のレダ(写真)は休暇先のビーチで若い母親とその娘に出会ったことから過去の記憶に心を乱される YANNIS DRAKOULIDIS/NETFLIX ©2021
<母性に対して女が抱く違和感や葛藤を掘り下げた映画『ロスト・ドーター』を、原作と共に解き明かす>
イタリアの作家エレナ・フェッランテは2018年に英ガーディアン紙に寄せたエッセーで、自分の小説を女性が映画化するなら原作に縛られないでほしいと書いた。
「私が作った檻から出てはいけないと、女性の監督には言いたくない。私たちはずっと男が作った檻に閉じ込められてきた。その檻が壊れつつある今、女の芸術家は完全に自律しなければならない」
となれば、フェッランテの06年の小説を映画化するに当たって脚本・監督のマギー・ギレンホールは、存分に脚色してもいいとのお墨付きを得たようなもの。だがネットフリックスで配信中の『ロスト・ドーター』はかなり原作に忠実で、だからこそ両者の相違が面白い(以下、ネタバレあり)。
物語の「脱イタリア化」という脚色
あらましは原作に沿っている。ヒロインのレダは大学教授で離婚歴があり、成人した娘が2人いる。
ある日、休暇先のビーチで日光浴をしていたレダは、大所帯の家族連れに場所を譲れと迫られ、その中の幼い娘を連れた若い女ニーナ(ダコタ・ジョンソン)に目を奪われる。母娘を観察し、やがてその人生に関わるレダの来し方を映画は解き明かしていく。
現在においても回想シーンでも、レダが寝床で見つける虫などのディテールを含め、原作の見せ場が再現される。だが全体を大きく変える脚色が1つある。舞台や登場人物の「脱イタリア化」だ。
小説の舞台は南イタリアの海辺の町。レダもニーナの一家もナポリの出身で、時に地域ごとの文化の違いが緊張を生む。レダには、故郷を捨てて洗練されたフィレンツェでの生活を選んだ背景がある。だから子育てと不倫の恋に悩むニーナには同情するが、その不作法な家族は過去を思い出させる迷惑な存在だ。
片や、映画の舞台はギリシャ。レダ(現在をオリビア・コールマン、若き日をジェシー・バックリーが演じる)はイギリス人で、アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジに住んでいる。専門も英文学ではなく比較文学だ。
平和なバカンスを乱す一家はナポリ人ではなく、ギリシャ系のアメリカ人。海辺の町の住人も英語圏の出身に設定し直されて地元の若者ジーノはアイルランド人の学生ウィル(ポール・メスカル)に、レダが滞在している貸家の管理人ジョバンニはライル(エド・ハリス)に変わった。
イタリアを舞台にイタリア人が織り成す物語は、映画版では旅行者と移住者の物語になる。レダとニーナはイタリア人でなくなったばかりか民族的背景も異なるため、母親であることに対する2人の葛藤がより普遍的な悩みとして浮かび上がる。
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