戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウクライナ戦争5年目の現実
Why No One Is Winning the Russia-Ukraine War After Four Years
だが重要なのは、ロシアも同じ速度で適応していることだ。一方が導入した技術や戦術は、即座に他方が模倣する。ドローンと対ドローン技術、電子戦を含む「技術的軍拡競争」が進み、決定的優位が固定されることはない。
さらに双方は有効な防空網を構築した。前線は航空機にとって「自殺行為に近い」危険な空域となり、航空優勢によって戦局を一気に動かすことは難しい。
その結果、ウクライナ東部と南部を走る前線は、2022年の侵攻以降おおむね膠着している。ロシアがわずかに領土を広げる一方で、多くの命と膨大な軍事装備が失われてきた。
アナリストや兵士が「消耗戦」と呼ぶ戦いだ。片方が相手の能力と士気を少しずつ削る。局地戦で勝利しても、それを戦略的成果につなげることはできない。成功は相殺され、勢いは持続しない。
泥にはまり込んだ戦車や、塹壕から顔をのぞかせる兵士の姿は第一次世界大戦を想起させる。1914年〜1918年にかけて約900万人の兵士が死亡した。
ウクライナの推計では、ウクライナ戦争でのロシアの死傷者は120万人に上る。ウクライナ側はその半分程度とみられる。





