「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない中国で成長は実現できるのか
China’s “Smart Authoritarianism”
世界が見つめる壮大な実験
第2に、これは一時的なものではない可能性がある。賢明な権威主義の視点では、不可解と見なされがちな統制強化は、緩和政策が続いた後の戦術的修正だった。
党内では、民主主義と権威主義のバランスや、改革期の問題を是正するための「新権威主義的」な転換の必要性が、継続的に議論されている。新権威主義論者である上海師範大学の歴史学者、蕭功秦(シアオ・コンチン)は、習の政策転換を毛沢東への回帰ではなく、過度な自由化への慎重な対応と位置付ける。「鄧小平が新権威主義の1.0を始めたとすれば、習は2.0を進めている。鄧が掲げた目標を達成するため、強化された新権威主義を使おうとしている」と、蕭は主張する。
すなわち賢明な権威主義論では、共産党の新権威主義的な転換は計算されたものであり、必要な選択なのだ。党が権力を維持しつつ、十分なイノベーションと成長を許容することで、中国は競争力を保つとされる。
それでも、中国が賢明な権威主義で失敗しかねない道が2つある。1つは統制を強めすぎて腐敗と国家介入が成長分野に入り込み、市場や技術、人材のネットワークから孤立する可能性。もう1つは、自由を与えすぎて党が権力を失うソ連のペレストロイカ(改革)型の失敗だ。





