【福音派】「ノンズ」と白人キリスト教ナショナリズムが広がるアメリカ社会
急成長を遂げた「宗派」もある――ノンズ
伝統的な米国の白人プロテスタントは、キリスト教ナショナリズムを信奉してきたと言っていいと著者は述べている。アメリカをキリスト教国家とみなし、明白な天命を掲げてネイティヴを征服し、カトリックや黒人やユダヤ人を差別してきたということだ。
だが今日のキリスト教ナショナリズムは、過去のそれと大きく異なる性質を持っているそうだ。
過去の白人キリスト教ナショナリズムは、支配的多数者としての自信に基づき、少数者を差別する形態を取っていた。対して、今日のそれは、社会的影響力の喪失への危機感と、既得権益を奪われつつあるという被害者意識に基づいている。この変化の背景には、白人キリスト教徒の人口比率がアメリカ社会全体の半数を下回るという人口動態の変化がある。(251ページより)
それに加え、初の黒人大統領の誕生、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動の台頭、グローバル化の深化や移民の増加などの社会変化も、白人の優位性とアイデンティティを脅かすものとして受け止められた。
その結果、今日のキリスト教ナショナリズムは、恐れと怨恨に基づく反動として現れているということだ。
その一方、近年の米国における宗教分布図には急成長を遂げた「宗派(セクト)」があるという指摘も非常に興味深い。福音派ではなく、新興宗教の一派でもない「ノンズ」というグループがそれだ。
"none of the above(いずれでもない)"の略称である「ノンズ」とは、著者の言葉を借りるなら「世論調査の宗教の欄の一番下にある選択肢」。要するに「いずれでもない」立場を選ぶ人々が今日のアメリカでは急増しているということだ。





