「私たちがやらなかったら、誰がやるんだ?」――医師不足が生む「空白」を埋める「空飛ぶ外来」とは

The Flying Doctor

2026年2月4日(水)20時55分
アレクシス・ケイサー (医療担当)

訪問診療の日は午前6時頃に集合。みんなコーヒーの紙コップを手に、自宅から持参した毛布にくるまっている。ジェット機のエンジンがかかるまで睡眠マスクを着ける人もいる。帰宅は12時間後だ。

「看護師も超音波技師も犠牲を払っている」と、マクナマラは語る。「スーフォールズで超音波検査をして、そのまま家に帰るほうがずっと楽だ。でも、みんなここに来る」

アウトリーチに携わる人々の絆は、マクナマラのチーム内にとどまらない。ラピッドシティ医療センターで、マクナマラは産婦人科医のミランダ・プレイデディと共に働いている。彼女はサウスダコタ州ウォータウンで働いていた頃も含めて16年間、訪問診療の医師たちと協力してきた。

マクナマラは水曜日に医療センターにやって来ると、常勤医の邪魔にならないよう産婦人科と同じフロアの空いている手術室を使う。この孤立した地域で彼がいると安心だと、プレイデディは話す。

「真夜中に何かあったとしても、アドバイスを求めて電話ができると思えるのは大きい。アウトリーチの患者でなくても、初診で産前ケアを受けておらず、分娩時に重大なリスクがある場合だとか」

現にマクナマラは、サンフォードの対象エリア内のアウトリーチ診療所から週に6〜8件の時間外メッセージを受け取るという。それが嫌だというわけではない。むしろ、電話に出られなかった場合の結果のほうが気になるのだ。

「私はいつだって人の役に立ちたい。この患者たちは誰かが来ないと、必要なケアを受けられないかもしれない。私たちがやらなかったら、誰がやるんだ?」

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