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アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同盟国を見捨てるトランプが招く「中国勝利」

TRUMP’S SILENCE IN ASIA

2026年2月3日(火)18時15分
ミラ・ラップフーパー(米ブルッキングス研究所客員研究員)、イーライ・ラトナー(米マラソン・イニシアチブ上席研究員)

この状況が続いたらどうなるか。まず、世界中の同盟国内で反米・親中の勢力が伸長する。そうなると、アメリカの同盟国が次々と中国になびくリスクが生じる。1月半ばにカナダのマーク・カーニー首相が訪中した事実を、アメリカ政府は真摯に受け止めるべきだろう。

第2に、トランプ政権が日本と台湾に防衛費の増額を迫る一方で誠意のある対応をしなければ、他の同盟諸国もアメリカ離れを加速させるだろう。それは決してアメリカ合衆国の利益にならない。各国の防衛力は上がるだろうが、それは必ずしもアメリカの利益につながらない。個々の国が強くなっても、アメリカを軸とする同盟の集団的な防衛力は減退するからだ。


そして最後に、アメリカの関与への疑念が高まるにつれ、アジア諸国は対米協調路線を取ることに伴うリスクを従来よりも避けるようになるだろう。中国が急速に軍事力強化を進めるなか、本来なら逆の方向こそが望ましい。このままだと、アジアにおけるアメリカの影響力はひどく損なわれることになる。

トランプを手玉に取った中国側の手腕は驚嘆すべきだが、実に危険だ。中国はトランプの自尊心をくすぐり、彼の欲しがる経済的インセンティブをちらつかせながら、アメリカをアジアの同盟国から引き離す戦略を着実に進めている。そして今春の訪中を控えたトランプは習との「素晴らしい関係」を誇示しつつ、米中両国の密室の取引で全てが決まる「G2」体制を夢見ているようだ。

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