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「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「他人事じゃない」不審死の現場

2026年1月12日(月)17時05分
印南敦史 (作家、書評家)

同じ家にいながら、なぜ家族は異変に気づかなかったのか

家族によると、派遣社員だった死者はもともと慢性心不全を患っていたものの、金銭的な理由と生来の病院嫌いから通院をやめてしまっていた。発見の1カ月ほど前からは体調不良が悪化したため、休職して部屋に引きこもっていたらしい。

部屋に引きこもり始めた後、当人が現れるのはトイレや食事の受け取り時のみ。家族とも、ひとことふたことを交わす程度だった。

勤務先に話を聞くと、まじめだが体が弱く休みがちだったことが明らかになった。休み始めてから最初の1、2週間は電話をしていたが、体調不良が長引きそうなので「元気になったら連絡をください」と伝え、その後は連絡を取っていなかったとのこと。

同じ家にいながら、なぜ家族は異変に気づかなかったのだろうかとも感じさせるが、こうした事情を鑑みると、どこにあってもおかしくなさそうなケースであることが分かる。


 妻は仕事から帰る際などに時折携帯電話で通話をしていたものの、「そういえばここ最近は連絡が取れておらず、姿も見ていなかったような気がするが、これまで電話に出ないこともあったし、以前にも、体調不良で会社を休み1週間以上食事をしなかったこともあった。昼間に自宅にいるなら食事は自分で何とかしているのだろう」と考え、疑問を持たなかったようです。(77ページより)

娘の部屋は引きこもっていた死者の隣室で、襖ひとつを隔てただけだった。これまた気づいてもおかしくない状況ではあるのだが、仕事で忙しく、「最近物音を聞かないな」とは思いつつも、さほど気にはかけていなかったようだ。

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