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「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「他人事じゃない」不審死の現場

2026年1月12日(月)17時05分
印南敦史 (作家、書評家)
検視官は変死事案について遺体や現場を調べ、その死の事件性を判断する

検視官は変死事案について遺体や現場を調べ、その死の事件性を判断する(写真はイメージです) SynthEx-shutterstock

<妻子と同居する50代男性。部屋に入ると、ゴミの山の間から緑色に変色した足が見えた。なぜこんなことに?>

検視官と聞いて思い浮かぶのは、遺体を解剖して死因などを明らかにする人の姿だった。ところが大きな誤りで、そういったことを行うのは医師免許を持つ法医学医と呼ばれる人たちらしい。
『検視官の現場――遺体が語る多死社会・日本のリアル』
では、検視官とは?

いや、それ以前に検視とはどのような仕事なのだろう。

首都圏の警察で検視官として働き、約1600体の検視をしてきたという『検視官の現場――遺体が語る多死社会・日本のリアル』(山形真紀・著、中公新書ラクレ)の著者は、この問いに対して以下のように答えている。


「検視」は、変死と呼ばれる事案について遺体や現場を調べ、主にその死の事件性を判断する仕事です。こうした検視の専門家が検視官で、実は警察官です。仕事の内容は非常に専門的ですが研究職でもなく、あくまで警察官という公務員の職務であり、社会と深く関わる仕事です。(「はじめに」より)

検視官になるためには、多くの場合、さまざまな条件が求められるという。ところが著者は、刑事経験もない「変わり種」。

生活安全部を経て総・警務部(管理部門)に在籍するなかで、「そろそろ警察官としての業務に戻りたい」との思いが募っていった。そこで上司に捜査部門を希望している旨を伝えたところ、刑事部捜査第一課に異動となり、検視調査室という検視の専門部署に配属されたというのだ。

早い話が、専門知識もないまま、いきなり検視官となったわけである。ただでさえ基礎知識や経験があるわけではなく、ましてや遺体は状態も状況もすべてが異なるのだから、突然目の前に立ちはだかった業務の困難さは想像に難くない。

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