最新記事
拉致問題

2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── 韓国拉致被害者家族が見る日韓の絶望的な差

2026年1月3日(土)18時00分
佐々木和義

韓国における拉致被害者問題

韓国統一部による朝鮮戦争後の拉致被害者は前述の通り522人で、朝鮮戦争時の拉致被害者と未送還捕虜を含めると18万人とされるが、正確な人数は把握できていない。

1953年に休戦協定が結ばれた際、国連軍司令部は韓国軍兵士失踪者を8万2000人以上と試算した。送還された捕虜はわずか10%の8343人で、その後、北朝鮮から逃げてきた元捕虜は80人のみである。国家情報院が2007年に取りまとめた資料によると、北朝鮮に抑留されていた元韓国軍捕虜は1770人、生存者は560人とされている。

韓国は1998年から2008年まで、金大中と盧武鉉の両政権下で南北融和事業の「太陽政策」を推進した。金大中は2000年6月に、盧武鉉は2007年10月にそれぞれ北朝鮮との首脳会談を実現させた。その後、2018年には文在寅大統領が3回にわたって金正恩との首脳会談を行った。しかし、これまで韓国政府が救出した拉致被害者や韓国軍兵士捕虜は1人もいないどころか、拉致被害者に関する言及すらしていない。

韓国政府の対応

これだけ多くの拉致被害者がいるにもかかわらず、韓国政権の対応は日本とは対照的だ。2025年6月に大統領に就任した李在明は、12月3日の記者会見で「北朝鮮に抑留されている韓国国民の釈放に向けた努力」についての質問に「初めて聞く話」と答え、続いて「韓国国民が捕まっているというのは本当か」とブレーンに尋ねて問題を認識していないことが露呈した。

韓国でも2000年代に拉致被害者や元韓国軍捕虜の帰還を願う「黄色いリボン」運動が国民に広がったが、リボンを着ける政治家はいない。

拉致被害者の家族は「米国の大統領まで支援しているめぐみの母親がうらやましい」「死ぬ前に顔だけでも一度見て、声だけでも一度聞かせてほしい」と話しているという。

日本政府で拉致問題担当大臣を兼務する木原官房長官は12月23日には訪日した魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長との会談で拉致問題の即時解決に向けた韓国の支持と協力を確認したが、自国の被害を認識しない韓国高官に伝えても暖簾に腕押し、豆腐に釘だろう。


【関連記事】
韓国の拉致被害者家族、北への宣伝ビラ10万枚散布強行へ 緊張高まる非武装地帯近隣の住民は猛反発
【動画】韓国美人インフルエンサー、ビキニ姿でソウルを疾走 サムスンやグーグル・コリアの本社がある江南に現れ......
日本、韓国、中国...... アジアのアニメがハリウッドを圧倒し始めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米軍がホルムズ海峡封鎖へ、イランは交渉に戻る見通し

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 3
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 6
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中