「息子を殺した奴に復讐した」...変わり果てたガザで青年が絶句した、驚きの復讐方法とは
Voices From Behind the Wall
先生は言った。5年生のころ、君は授業中によそ見ばかりしていたから、こうして耳をつまんで引っ張ってやったな。ヒマワリの種を詰めた袋を机の下に隠して、こっそり食べていたな。「元気だったか、アラム? すっかり大人になったな」
「ええ、大学に進んでアラビア語を専攻し、翻訳実務の証書をもらいました。でも、今はこんなで......」。私は先生の顔を直視できなかった。
〈先生を悲しませたくない、がっかりさせたくない。だから頑張りましたけど、しょせんはガザ地区の人間でしょ。必死で就職先を探し、フリーランスで生きる道を探ったこともある。で、どうなったと思います? 商売人か国際企業の社員でないかぎり、銀行口座も開けないんです。ぼくみたいな若い男は死ぬか、朽ち果てるかのどちらか。この歳で、もう三度も戦争を経験したんですよ〉
人生ってものはな、と先生は言った。最初の60年は大変だが、その先は楽になるものさ。私が笑うと先生も笑った。それで「息子さん、ライス君は元気ですか」と聞いてみた。「一緒に教室に座って退屈していたころからの友だちです。彼、いつも教室を盛り上げてくれましたね」
すると先生の目に涙があふれた。
〈あっ、先生、言わないで。ライス君が殺されたなんて言わないで。もう十分です。去年の夏にイスラエル軍が攻めてきたとき、私も多くの友人を失ってます。だから、言わないでください、お願いです!〉





