「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入でベネズエラは泥沼化するのか
Risky Business
「ベネズエラはウクライナより広い。地形は多様で、分散や隠蔽に適している。ウクライナが世界最強かつ最大規模の軍隊と見なされていた外国の侵略者に対し、今も生存を懸けて戦っているように、ベネズエラも世界最強の軍事力による外部からの攻撃に抵抗してくる。そんな攻撃が民族主義的な反発を招くのは必至であり、非正規軍との戦闘が続き、さらに周辺各国の怒りを買うことになるだろう」
現在進行形の危機を前に、中南米諸国の多くはマドゥロ政権に敵対する野党勢力を支持しているが、大国ブラジルやコロンビアなどは明確に、軍事介入には反対している。自国領内でアメリカが麻薬カルテルを攻撃するというシナリオに反対してきたメキシコも、ベネズエラに対する武力行使に批判的な立場だ。
困難な政権交代後の統治
アメリカの保守系団体スタンド・トゥギャザーで外交政策を担当するリード・スミスも、アメリカの介入はマドゥロ政権の民族主義的言説を強化し、国内および地域の支持者を増やすだけだとみる。
「政治的に見て、あの政権にとって最も強力な武器はナショナリズムだ。彼らは軍事介入をアメリカの砲艦外交の新たな例と位置付け、支持基盤を結束させ、周辺の親米各国には『トランプの共犯者』のレッテルを貼るだろう」とスミスは本誌に語った。
「運よくマドゥロ政権転覆に成功しても、政情不安が長く続く深刻なリスクがある」
戦場における戦術的落とし穴だけでなく、アメリカとその同盟国には、ベネズエラの新たな国家建設にどこまで関与するかという重大な疑問が立ちはだかる(そもそもトランプは外国への軍事介入に反対の立場だった)。





