「犯罪」と「移民不安」が追い風に...チリ大統領選で右派カスト氏勝利
写真は12月14日、チリのサンティアゴで、大統領選決選投票のため投票所に到着し、支持者に手を振るホセアントニオ・カスト氏。REUTERS/Juan Gonzalez
チリ大統領選の決選投票が14日に行われ、右派のホセアントニオ・カスト氏が勝利した。犯罪増加や移民問題に対する有権者の不安を背景に支持を集めた。
カスト氏の得票率は58%、左派ボリッチ政権で労働相を務めたジャネット・ハラ氏は42%となった。ハラ氏はカスト氏に連絡を取り、敗北を認めたと明かした。
カスト氏は数十年にわたる政治キャリアを通じて右派強硬派の立場を取ってきた。国境の壁建設、犯罪多発地域への軍配備、全ての不法移民の国外退去を訴えている。
カスト氏は14日夜、サンティアゴの高級住宅街ラス・コンデスにある共和党本部でチリの国旗を振り歓声を上げる群衆を前に勝利演説を行い、「真の変化」を約束した。
「安全がなければ平和はない。平和がなければ民主主義はなく、民主主義がなければ自由はない。チリは犯罪、不安、恐怖から解放されるだろう」と述べた。
その上で、今後の道のりは困難だと指摘し、「魔法のような解決策はない」と述べ、変化には忍耐と時間が必要だと訴えた。
今回の選挙戦はカスト氏にとって3度目の大統領選で、2度目の決選投票だった。
チリ大学の政治学者クラウディア・ヘイス氏は、伝統的に左派候補に投票する地域でさえ、カスト氏が決定的な勝利を収めたのは、共産党員として過激すぎると多くの人に思われていたハラ氏に対する有権者の拒否反応が要因となった可能性が高いとの見方を示した。
チリは南米で最も安全な国の一つだが、近年は暴力犯罪が急増している。犯罪グループがコカ生産地の隣国ペルーやボリビアとの国境警備の不備を突くなどし、人身売買や性売買の被害者になりやすい移民が増えている。また、ベネズエラからの不法移民も近年急増しているという。
カスト氏の政策には、米移民・税関捜査局(ICE)のような警察組織を創設し、不法移民を迅速に拘束・追放したり、公共支出を大幅に削減したりすることが含まれているが、議会の反発に直面するとみられている。
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