【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライナに「降伏」――それでも「和平」と呼べるのか?
Don’t Call This a “Peace Plan”
第2次大戦前との違い
トランプは昔のチェンバレン同様、ウクライナに受け入れ以外に選択肢のない既成事実を押し付けることができると思い込んでいるようだ。超大国アメリカには自分の意思をウクライナ人に押し付ける権利があると。
だが筆者の見る限り、そうはいかない。ミュンヘン協定当時のチェコスロバキアと違って、今のウクライナにはまだ多くの友好国がいる。EU加盟国、イギリス、カナダ、日本、韓国、台湾、オーストラリアなどだ。
現時点で欧州諸国はアメリカよりも多くの軍事支援を行っており、榴弾砲や砲弾、長距離ミサイル、戦闘機などの兵器を供与している。ウクライナ国内の防衛産業を支援する巨額の投資もしている。
もちろんアメリカが全面的に手を引いた場合に、それを補完するのは難しい。衛星利用の偵察情報もアメリカほどには提供できまい。米国製パトリオットミサイルの補給もおぼつかないだろう。
問題は軍事支援に限らない。ウクライナは巨額の財政支援と人道支援も受けている。
おかげで公務員の給与を払い、経済の安定も維持できている。以前はその大部分をアメリカが担っていたが、今年に入ってからはEUなどの欧州勢がほぼ全額を負担している。





