最新記事
ウクライナ戦争

【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライナに「降伏」――それでも「和平」と呼べるのか?

Don’t Call This a “Peace Plan”

2025年12月3日(水)19時02分
クリスチャン・カリル(元モスクワ支局長)

ゼレンスキー大統領

トランプの和平案について、合意を進める意向を示したゼレンスキー大統領 ALINA SMUTKOーREUTERS

今日のウクライナは、もちろん38年のチェコスロバキアとは違う。だがアメリカとロシアの間で合意されたという28項目の「和平案」を読むと、まるでミュンヘン協定の21世紀版だ。

ドナルド・トランプ米大統領は当時のチェンバレン英首相と同様、第三国の領土と将来について、その当事国の頭越しにロシア大統領ウラジーミル・プーチンと話をつける権利があると信じているらしい。

こんな話は筋が通らない。トランプは欧州の地政学をまるで理解していない。ロシアがウクライナを再び支配しようと決意している事実も、ウクライナ人が国土と独立を守るために戦い続ける覚悟でいることも、トランプには分かっていない。

しかもトランプは、またぞろウクライナに戦争の責任をなすり付けようとしている。

11月23日のジュネーブでの米・ウクライナ協議後には、「こちらの努力に対して示す感謝の意がゼロ」だと言ってウクライナ政府を非難した。

その協議では、あの28項目の和平案に大きな修正が加えられたと報じられた。だが詳細は不明で、そもそも正式な修正にはトランプとプーチンの承認が必要とされている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、一部の米提案は受け入れ 協議継続意向=

ワールド

韓国検察、尹前大統領の妻に懲役15年求刑

ビジネス

英サービスPMI、11月は51.3に低下 予算案控

ワールド

アングル:内戦下のスーダンで相次ぐ病院襲撃、生き延
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中