円安進行で問われる為替政策...高市政権の「許容範囲」はどこまでか
写真は1日、韓国・慶州で記者会見する高市早苗首相。REUTERS/Kim Hong-ji
13日午前の東京外国為替市場で円相場が一時155円台まで売られるなど円安が進行する中、「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗政権下で、為替政策の在り方が問われている。物価高騰の一因とされる円安だが、日本経済を支える輸出企業にとっては業績底上げに寄与し、米国の関税政策の影響を和らげる効果も期待される。一方で、円安をどこまで許容するかについて政権内の共通見解が醸成されていないとの指摘もあり、過度な売りを防ぐための通貨当局のけん制発言が効果を欠くことへの懸念もある。
ある現役の経済閣僚の側近は「円安について高市政権では閣僚によって心配している人と、そうでもない人、よくわからない人がいる」と指摘する。副大臣経験者は「高市首相は円安のデメリットをいまひとつ、わかっていないようだ」と話した。
金融市場では、高市政権は「アベノミクスの復活」(農林中金総合研究所の南武志理事研究員)ともみなされ、円安が容認されやすいとの見方が根強い。
実際、高市首相は円安容認姿勢と受け取られかねない人事を相次いで打ち出してきた。経済財政諮問会議の民間議員に若田部昌澄・前日銀副総裁や第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミスト、新設した日本成長戦略会議の委員にもクレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストや元日銀審議委員でPwCコンサルティング合同会社上席執行役員の片岡剛士チーフエコノミストを起用した。いずれも大胆な金融緩和と積極財政を提唱するリフレ派の論客だ。
会田氏は、日本経済が十分に成長力を回復すれば、為替は円高方向に反転するとして、日銀の早期利上げに強く反対する。
自民党内でも、西田昌司参院議員らは米関税引き上げに対抗するには円安を容認すべきと主張し続けている。
一方で、円安の副作用を懸念する声も政府・自民党内で広がっている。前出の経済閣僚の側近は、経済政策の中枢を担う片山さつき財務相は「心配している一人」とみている。12日の参院予算委員会では「円安にはプラスとマイナスがあるが、マイナス面が目立ってきたところがあるのは否定しない」と市場をけん制してみせた。
質問に立った自民党の阿達雅志・前総務副大臣も、物価高の中で足元の円安は過度と懸念しており、円安けん制の発信の仕方で政府に注文を付けた。
ある財務省関係者は「最近はドル円の振れ幅が大きい。一気に3円ほども動く。もう一段円安が進めば利上げも不可避だ」と懸念する。
内閣府幹部も「安倍晋三政権の発足時はデフレだったためアベノミクスによる円安誘導は意味があったが、今は逆に物価高。ここで円安政策をとるのは経済理論的にも疑問で、どこまで円安を許容するのかと皆注視している」と明かす。ある財務官経験者は「旧安倍派が円安容認のため、円安批判は声を出しにくい雰囲気があった」と指摘する。
みずほ証券チーフエコノミストの小林俊介氏は「高市政権は需要と供給の双方を引っ張り上げ、物価上昇による税収増で財政再建を進め財政余力を確保する政策」と分析。そのうえで、適正な為替水準については「政権内でもコンセンサスはないのではないか」と推察。為替介入に踏み切るような許容できない「円安水準の閾値(限界水準)について模索していくのではないか」と話している。
12日のニューヨーク外為市場では円安が進行。一時、2月4日以来約9カ月ぶり安値となる1ドル155円台を付けた。13日午前の東京外国為替市場でも円売り基調は維持され、片山財務相のけん制発言の効果は限られた。
(竹本能文、鬼原民幸 編集:橋本浩)
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